公正取引委員会は2013年11月13日の事務総長定例会見で、イーライセンスが公取委に審決の取り消しを求めて提起した訴訟に対する東京高等裁判所の判決(11月1日に言い渡し)に対し、同日に上告受理の申し立てを行ったと発表した。

 東京高裁は今回の判決において、「審決の認定は実質的証拠に基づかないものであり、その判断にも誤りがあることから、審決を取り消す」とした。公取委はこの内容を不服として、今回の上告受理申し立てを決断した。

 この訴訟に「訴訟の結果により権利を害される第三者」として参加していた日本音楽著作権協会(JASRAC)も、同日に上告の提起および上告受理の申し立てを行ったと発表した。JASRACは2013年11月1日の東京高裁の判決を受けて、同日に公表したプレスリリースにおいて「判決文を精査したうえでしかるべき対応をとる必要があると考えている」などとしていた(関連記事へ)。

 JASRACは上告提起などを行った理由について、「東京高裁の判決はJASRACの主張をいずれも否定した。しかし、いずれの判断も法令の解釈適用を誤ったものであるため、最高裁判所の判断を求める必要があるとの結論に至り、上告などを行うこととした」としている。

 JASRACは現在、日本放送協会(NHK)や日本民間放送連盟(民放連)などとの「包括的利用許諾契約(包括契約)」の下で放送事業者とそれぞれ契約を結び、管理楽曲の著作物使用料を徴収している。この包括契約について公取委は、「放送利用についての管理楽曲の利用許諾分野における競争を実質的に制限している」という考えから、2009年2月に包括契約の取りやめなどを目的とした排除措置命令を出した。

 これに対しJASRACは2009年4月に審判を請求した。約2年間にわたる審判の結果、審判官は排除措置命令を取り消すべきという判断を下し、公取委は2012年6月にJASRACへの排除措置命令を取り消すという審決を出していた。

[JASRACの発表資料へ]