写真●楽天の國重惇史代表取締役副社長。金融事業とは直接関係ない、医薬品のネット販売についても冒頭で言及した
写真●楽天の國重惇史代表取締役副社長。金融事業とは直接関係ない、医薬品のネット販売についても冒頭で言及した
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 「ショッピング取扱高で数年後に5兆円を超え、日本一のカード会社を目指す」。

 楽天は2013年11月12日、グループの金融事業説明会を開催した。会場には楽天カードをはじめ、銀行、証券、生命保険、Edy(電子マネー)、そしてスマートペイ(スマートフォン決済)という、社名の頭に楽天の名が付くグループ金融各社の幹部が勢ぞろい。楽天の金融事業をトータルで紹介した。

 冒頭で挨拶した楽天の國重惇史代表取締役副社長は「(ポイントサービスの)楽天スーパーポイントを軸にした“楽天経済圏”を構築し、シナジーを利かせる」と説明(写真)。ゆりかごから墓場までと言わんばかりに、人のライフステージやライフイベントに合わせて、あらゆる商品やサービスを楽天グループ内で提供できる環境を作り上げようとしているとした。

 11月7日に発表した2013年度第3四半期の決算で、楽天の金融事業はアベノミクス効果も手伝って利益が急拡大し、前年同期比で113%増という大幅な伸びを見せた。

 なかでも好調な楽天カードについては、楽天の穂坂雅之常務執行役員が詳しく語った。「楽天市場の利用履歴に基づく独自の与信システム」と「楽天流のKPI(重要業績評価指標)経営管理制度」の導入でカード会社の経営体質を強化したうえで、楽天市場などでのバナー広告を使ったカード申し込み業務のローコスト化で、会員には楽天スーパーポイントを高い比率で還元できるビジネスモデルを確立したと説明。それが顧客ニーズを満たしていると分析した。

 その結果、ショッピング取扱高は2012年度実績で1兆9000億円と業界9位に浮上。「今期は2兆数千億円に達する見通しで、そのペースを考えると、数年後には業界最大手の4兆7000億円を上回れるはず。目標の5兆円達成に自信を持っている」と言い切ってみせた。

 さらに、スマホ決済の楽天スマートペイについても現時点での引き合いの強さから、普及に自信をのぞかせた。「10年はかからずに100万店の加盟を期待できる。日本では勝っていけると思っている」とした。

 次いで楽天銀行についての説明は、同社の永井啓之代表取締役副社長執行役員が行った。オンラインの銀行口座数は440万で業界第1位であり、「楽天銀行スーパーローン」の残高は2100億円を超え、順調に増えている。永井副社長は「容易にそして安価に顧客にリーチできるのが、楽天グループにいる強みだ」とした。

 先ほどの楽天スマートペイでは、楽天銀行の口座を指定すると、翌日に入金確認が可能になるなど、中小企業や個人事業主の開拓をグループを挙げて進める。

 アベノミクス効果で好調な楽天証券とは、証券口座と銀行口座でシームレスに資金移動できる共同プログラム「マネーブリッジ」を提供中。既に20万人の利用者がいる。その楽天証券は以前からトレーディングツール「MARKETSPEED(マーケットスピード)」の提供が好評で、日本株取引約定代金の64%が同ツール経由になっているが、今はスマホアプリ「iSPEED」が人気に。既に累計で50万ダウンロードされている。

 最後に楽天生命保険の説明があり、こちらもスマホ経由の資料請求が3人に1人、申し込みも4人に1人となっていることを明かした。業界初となるスマホから「健康状態に関する告知」の入力が可能になっている。