写真●ワールドジャンパーの画面例
写真●ワールドジャンパーの画面例
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 自動翻訳ソフトウエアの開発などを手がけるベンチャー企業の八楽は2013年11月6日、企業のWebサイトの翻訳サービス「ワールドジャンパー」を無料で提供するサービスを開始した。フリーミアムモデルを採用し、Webサイトの機械翻訳機能を無料で、人力の翻訳と併用して精度を高める場合は有料でサービスを提供する。自社製品を海外に売り込みたい中小企業の需要や、外国人客を誘致したい流通店舗などでの利用を見込む。

 ワールドジャンパーは日本語で記述したWebサイトのURLを登録することで、該当するWebページを無償で翻訳する機能を提供する。対応する言語は、英語、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語の3カ国語。英語や中国語(繁体字、簡体字)、韓国語のサイトを日本語に翻訳することも可能だ。辞書登録機能を持ち、企業名や製品、サービス名などを登録できる。八楽の坂西優社長は「1度学習した単語は再び登録しなくて済むため、利用すればするほど自社に合うように翻訳の精度を高められる」と説明する。翻訳は最短数十分で完了する。

 機械翻訳の結果を見て精度を向上したい企業向けに、有料の人力の翻訳サービスを用意した。人力翻訳は、翻訳のクラウドソーシングを手がけている企業と提携。プロの翻訳者に依頼する「スタンダード翻訳」は1文字当たり6円、翻訳者による翻訳に加えてネイティブスピーカーが翻訳内容を校正する「プロ翻訳」の場合は1文字10円から提供する。

 翻訳したWebページは八楽が運営するWebサイトに複製される。自社の独自ドメインで翻訳したサイトを運営したい場合は有料となる。翻訳したWebページについてもHTMLを生成するため、検索サイトのクロールの対象となる。海外向けにWebサイトの画像を変更したい場合に変更できるツールなども用意している。

 八楽の坂西優社長は「会社概要を意味する『about us』を、何度翻訳しても『私たちについて』と日本語訳するなど無料の翻訳エンジンは精度が低く、企業が利用するのは難しい。一方でプロの翻訳家を介するサービスは費用が高い。当社のサービスはその中間を狙った」と説明する。

 ワールドジャンパーは無料版の場合、カスタマーサポートがない。カスタマーサポートが付いたり、広告を表示しない有料版「WorldJumperプレミアム」は初期費用880円に加え1ページビュー当たり0.1円となる。

 日本から海外に進出する企業の増加や、2020年の東京五輪開催に向けて海外からの旅行者などの増加が見込まれることから無料でのサービス提供を決めた。「利用者が増えれば増えるほど翻訳の精度が高くなる。いち早く利用者を獲得することで、翻訳サービスでの競争力を高めたい」と坂西社長は話す。2014年4月までに国内1万サイトへの導入を目指す。