東京高等裁判所は2013年11月1日、公正取引委員会が日本音楽著作権協会(JASRAC)への排除措置命令を取り消す審決を行ったことを受けて、イーライセンスが公取委に対し審決の取消しを求めて提起した訴訟についての判決を言い渡した。

 判決の内容は、「審決の認定は実質的証拠に基づかないものであり、その判断にも誤りがあることから、審決を取り消す」というものである。

 JASRACは現在、日本放送協会(NHK)や日本民間放送連盟(民放連)などとの「包括的利用許諾契約(包括契約)」の下で放送事業者とそれぞれ契約を結び、管理楽曲の著作物使用料を徴収している。この包括契約について公取委は、「放送利用についての管理楽曲の利用許諾分野における競争を実質的に制限している」という考えから、2009年2月に包括契約の取りやめなどを目的とした排除措置命令を出した。これに対しJASRACは2009年4月に審判を請求した。

 約2年間にわたる審判の結果、審判官は排除措置命令を取り消すべきという判断を下した。これを受けて公取委は、2012年6月にJASRACへの排除措置命令を取り消すという審決を出していた。

 今回の東京高裁の判決を受けてJASRACは、11月1日付のプレスリリースを即日公表した。JASRACは今回の訴訟に「訴訟の結果により権利を害される第三者」(行政事件訴訟法22条1項)として参加し、「今回の排除措置命令および審決の名宛人でないイーライセンスには原告適格が認められない」「仮に原告適格が認められるとしても、審決の事実認定は合理的。法解釈にも誤りはないため、審決には取消事由がない」と主張したという。

 JASRACは、「今回の判決はこれらの主張をいずれも否定したもので、到底承服できない」「判決文を精査したうえでしかるべき対応をとる必要があると考えている」としている

[JASRACの発表資料へ]