NTTドコモ、インテル、サムスン電子は2013年10月31日、都内で開催された「インテル ソフトウエア・イノベーション・フォーラム」でソフトウエア開発者向けの講演を行い、Tizenの最新情報を発表した(写真1)。
最初にNTTドコモ プロダクト部技術企画 担当部長の杉村領一氏が登壇した。ただし杉村氏はTizen AssociationのChairmanを兼任しており、主に後者の立場からの講演となった(写真2)。
杉村氏は現在のTizenの状況について、ビジネス視点でエコシステムを作っていく「Tizen Association」と、Linux Foundationに所属し、技術視点で運営に携わる「Tizen Project」による運営体制を説明した。
このうち杉村氏がChairmanを務めるTizen Associationについては「専属のスタッフがいない組織。すべて関係している企業のメンバーのみで活動している」と紹介。また、個々の参加企業についても、OS内のモジュールに関わる企業、APIからアプリまで幅広く関与する企業、アプリのみ作る企業など、様々な切り口で取り組んでいるという(写真3)。
今後のTizenは、携帯電話用の「モバイルプロファイル」や車載用の「IVI(In Vehicle Infotainment)」だけでなく、多くの分野に展開する。
2014年第2四半期にリリースを予定するTizen 3.0からは「テレビ・クラムシェル・カメラ・プリンタ」などのプロファイルを追加。最近流行の「ウェアラブル」を含め、TizenというひとつのOSで幅広いデバイスに展開していくというビジョンを示した(写真4)。
Tizenが実現する具体的なユーザー体験としては、「一般名詞中心のUI」を挙げた。
たとえば従来のスマートフォンでは、まずTwitterやLINEのアプリを起動する必要があった場面でも、Tizenでは「写真」を指で触れると「メールで送る」といった選択肢が現れるという。このようにTizenでは、TwitterやLINEといった「固有名詞」を知らなくとも、一般名詞だけで使いこなせるUIを目指しているという。
Tizenならではの特徴的なUIとしては、「Dynamic Box」と「Drop View」を挙げた(写真5)。
Dynamic Boxは、アプリが簡単な情報を表示できる正方形のタイルとなる。これを下方向にフリック操作すると、Drop Viewと呼ばれる詳細表示用の小窓をその下に開くことができる。
この関係について杉村氏は「プロ野球の情報アプリにたとえると、Dynamic Boxには試合を行ったチーム名とスコアを、Drop Viewには各回の得点が分かるスコアボードを表示する」と具体例を挙げた。