写真1●ソフトバンクの決算説明会には、10月15日に買収を発表したスーパーセルのイルッカ・パーナネンCEO(写真右)も登場した。写真左は孫正義社長
写真1●ソフトバンクの決算説明会には、10月15日に買収を発表したスーパーセルのイルッカ・パーナネンCEO(写真右)も登場した。写真左は孫正義社長
[画像のクリックで拡大表示]

 ソフトバンクは2013年10月31日、2013年4~9月期連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高は前年同期比72.7%増の2兆5986億1200万円、営業利益は同66.6%増の7150億7000万円の増収増益だった。売上高は過去最高、営業利益も8期連続の最高益である。説明会に登壇した孫正義社長は、「契約数、売上高、営業利益、純利益のすべての指標で初めて他社(NTTドコモとKDDI)を上回った。非常に満足している」と総括した。

 もっとも売上高のうち、約7600億円はスプリント買収分。営業利益のうち、約2500億円はガンホー・オンライン・エンターテイメントとウィルコムの子会社化に伴う一時益分となる。ただ、それを差し引いても売上高、営業利益ともに伸びている。2013年9月からNTTドコモがiPhoneの販売に参入したが、孫社長は「(他社の販売状況は分からないが)今月も純増数は1位、MNP(モバイル番号ポータビリティー)も転入超過で終わる。予定通りの結果。国内の業績は順調に来ている」と自信を示した。

 スプリントの事業は赤字(約223億円の損失)で連結されたが、それを含めても公約の「連結営業利益1兆円以上」を達成できるという。さらに2014年度の連結業績について、売上高は7兆円、営業利益は1兆円を目指すと宣言した。2013年度営業利益には約2500億円の一時益が含まれているが、「一時益を含まずにコンスタントに1兆円を突破できるメドが立った。実質は約3割の増益に等しい」(孫社長)とする。

 主力の移動通信事業の主な指標は以下の通り。ソフトバンクモバイルが7~9月期に獲得した純増数は77万6000件、携帯電話端末の販売数は314万8000件、解約率は1.11%。通信モジュールを除いた総合ARPU(契約当たり月間平均収入)は前年同期比130円減の4520円だったが、データARPUは同170円増の2930円と伸びている。なお、2013年9月末時点の総契約数はソフトバンクモバイルが3406万6000件、イー・アクセスが441万5000件、PHSのウィルコムが531万件である。

 スプリントの契約数は2013年7~9月期で9万5000件の純減だが、ここから反転していくとした。ネットワークはピッチを上げて改善を進めているほか、米ブライトスターの買収で今後は端末調達コストの削減を見込めるという。最大の焦点となる「ソフトバンク流の営業の浸透には1年程度かかると思うが、足腰を一気に強化していく考え」(孫社長)である。

 2013年10月15日に発表したフィンランドのゲーム会社スーパーセルの買収については、「ゲームを制するものがスマホコンテンツを制する」(孫社長)と狙いを説明した。スマートフォン向けのアプリは多種多様だが、全体の売上高で約8割、利益で約9割をゲームが占めるという。

 モバイルゲーム市場はさらなる成長が見込まれるため、「スマホ向けゲームで世界No.1を目指す」(孫社長)。単純にゲームの数で勝負するのではなく、長く楽しんでもらえる名作を厳選して投入することで差異化を図っていく。ガンホーは海外展開の強化で、スーパーセルはAndroid版の本格展開と来年予定の新作投入で、それぞれアップサイドを期待できるとした。

 説明会にはスーパーセルのイルッカ・パーナネンCEO(最高経営責任者、写真1)も登壇し、「ゲーム分野で真のNo.1のグローバルカンパニーを目指している。そのためにソフトバンクは非常に重要なパートナー」とした。