スカパーJSATホールディングス(スカパーJSAT HD)は2013年10月31日、2013年度第2四半期決算説明会を開催した。代表取締役社長の高田真治氏が登壇し、有料多チャンネル事業や宇宙・衛星事業の下半期の取り組みを説明した。

 有料多チャンネル事業では、東経124・128度CSの多チャンネルサービス「スカパー!プレミアムサービス」において、MPEG-2放送契約者に対するH.264放送への移行促進策を強化する。同サービスのMPEG-2放送は2014年5月末に終了することになっており、H.264放送への移行は喫緊の課題となっている。

 H.264放送への移行は順調に推移しているが、施策強化によって目標以上の成果を上げることを目指す。具体的には、(1)チューナー交換済みの加入者を対象に契約商品の自動移行を実施(2)MPEG-2放送の販売終了商品をH.264放送においても新たに組成(3)放送事業者と連携した番組内移行告知を強化――の三つである。

 東経110度CS放送では、新商品を組成する。対象チャンネル(40ch以上)の中から5chを選択し、視聴できるという新たな番組パックを販売する。販売価格は1980円で、販売開始時期は2014年3月中旬を予定する。高田社長は、「現在、東経110度CS放送では、ベーシックパックとそのほかの商品の中間に位置する商品が存在しない。新商品を加えてARPUを上げていきたい」「選択型の番組パックなので、視聴していないチャンネルにはお金を払いたくない、という人にも受け入れてもらえる」「かつてスカパー!を視聴していた元・加入者にアプローチする際もチャンネルを選べる点は再加入のインセンティブになるのではないか」と述べた。

アジア地域でチャンネル開局、日本コンテンツを核に海外事業を展開

 このほかに、アジア地域で日本のコンテンツを流すチャンネルの開局に向けた準備を進めていると報告した。24時間日本のコンテンツで編成し、現地語によるローカライズを行う。このチャンネルには、地上放送事業者や有料放送事業者、ライツホルダーも参画する。まずインドネシアでの本放送開始を計画する。2013年度中の本放送開始を目指しているという。その後、他の国での展開を予定する。

 スカパーJSATは今回のチャンネルは、放送を核とした日本企業の海外展開の足掛かりと位置付ける。事業展開のイメージとして、音楽ライブイベントを核とする企画を紹介した。現在、アーティストの海外進出を目指す音楽会社と共同ライブイベントを企画しており、2014年の実施を予定する。放送による認知度向上により、関連グッズ販売や新たなイベント興業など、新たなビジネスや収益拡大につなげることを目指す。

 スポーツ中継の企画も示した。インドネシアのサッカー少年がJリーグの選手に挑戦するという番組を企画している。この番組がスポンサードする形で、Jリーグクラブとインドネシア選抜の試合も企画しており、2014年の実施を予定する。関連グッズ販売やイベント興業のほか、観光誘致やスポーツ振興などにもつなげたい考えである。

 宇宙・衛星事業では、国内での取り組みとしては、自治体衛星通信機構(LASCOM)の管制局設備更新を受注したと報告した。LASCOMは、全国約4000の地方公共団体を結ぶ防災ネットワークである。山口市の主局と北海道美唄市の副局を更新し、2015年度に運用できるようにする。

 海外での取り組みに関しては、インドネシアにおける衛星回線の提供開始について述べた。スカパーJSATの衛星回線を利用しているのは、インドネシアのLIPPOグループである。LIPPOグループは2013年9月9日に多チャンネルサービスの「BIG TV」を開始している。

 スカパーJSAT HDの2013年度第2四半期の連結業績は、売上高が828億400万円(対前年同期比5.5%増)、営業利益は109億300万円(同33.2%増)、経常利益が108億8100万円(同36.8%増)、当期純利益は65億2700万円(同31.2%増)だった。ハイビジョンサービス視聴料収入が増加したなどの要因により、増収増益となった。

[決算説明会の資料へ]

[決算短信へ]