写真1●オペレーションコントロールセンター(OCC)
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写真2●OCCについて説明する関剛彦氏
写真2●OCCについて説明する関剛彦氏
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 日本航空(JAL)は2013年10月31日、JALグループで運航している1日約1000便の航空機のうち、羽田空港や成田空港などを利用する合計720便(国内線が約590便、国際線が約130便)の運航全体を管理している「オペレーションコントロールセンター(OCC)」をメディアに公開した(写真1)。ここで航空機の運航に必要な情報の収集と集約を実施し、スケジュール統制や危機管理に当たっている。総勢140人、常時約90人体制で運用している、24時間365日眠らない“指令基地”だ。

 一言で言えば、OCCはその日の気象や機材の状況などから、予定通りに航空機を「飛ばすのか/飛ばさないのか」を判断する場所である。安全が最優先なのは言うまでもないが、OCCが「欠航」を決めれば、顧客はその日の予定を変更せざるを得なくなるし、「当社も航空機を飛ばせなければ、商品を提供できない」(説明に当たったオペレーションコントロールセンター企画部の関剛彦企画・人財育成グループアシスタントマネジャー、写真2)。当然、経営に響く。

 航空機を飛ばすかどうかの最終判断を下す、OCCのリーダーである「ミッションディレクター」は社長権限の委譲に基づき、運航統制という重責を担っている。現役の機長や空港支店長、整備士など、出身組織が異なる合計8人のミッションディレクターが持ち回りで役割を受け持っている。

 台風や大雪、地震、強風、霧などの発生から、機材故障、空港設備の不具合、急病人の発生、そしてシステムトラブルまで、あらゆるイレギュラー対応に欠かせない情報はすべて、発生から15分以内にOCCに集まる仕組みになっている。それらの情報を基に、OCCは航空機の遅延や欠航、上空待機、あるいは機材変更や経路変更などを瞬時に判断していく。

 欠航を決めると、その情報は即座に顧客管理部署に伝えられ、そこで「欠航」を顧客に知らせるための空港内表示の変更処理などが行われる(関連記事:JALがiPad miniを5000台導入へ、まずは客室乗務員向け)。

 最近では、2013年9月16日に台風18号が関東に接近した際、前日の15日にJALは翌日16日の150便以上の欠航を決めた。その判断を下したのも、もちろんOCCだ。