写真1●米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ会長兼CEO
写真1●米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ会長兼CEO
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写真2●「モノのインターネット」から「顧客のインターネット」になることでアプローチが変わる
写真2●「モノのインターネット」から「顧客のインターネット」になることでアプローチが変わる
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写真3●米セールスフォース・ドットコムが提供するプラットフォーム/サービスの位置付け
写真3●米セールスフォース・ドットコムが提供するプラットフォーム/サービスの位置付け
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 「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)の時代が来ている。だが、すべてのモノの背後には顧客がいる。このことを忘れてはならない」。2013年10月30日、都内で米セールスフォース・ドットコムが開催したイベント「Customer Company Tour Japan」の基調講演に登壇した同社のマーク・ベニオフ会長兼CEO(最高経営責任者)はこのような考えを述べた(写真1)。

 ベニオフ氏は、メインフレームからクライアント/サーバーコンピューティングへと変遷し、現在クラウドやワイヤレスネットワークによってコンピューティングの第3の波が来ていると説明。その第3の波によって到来するのが、2020年までに500億もの製品やデバイスがインターネットにつながる「Internet of Things」「Intenet of Everything」の時代だとする。

 こうした時代についてベニオフ氏が述べたのが冒頭の言葉だ。単にモノとモノとをつなげるのではなく、その背後にいる顧客とつながることこそが本質であり、それを同氏は「顧客のインターネット(Internet of Customer)」と表現する。あらゆるデバイス、製品やサービス、さらにはアプリケーションを介してだったり、Twitterのツイートだったり、それらの背後には必ず顧客が存在する。

 「モノのインターネット」から「顧客のインターネット」になることで、そのためのシステムやアプリケーションの考え方、アプローチも変わる。例えば“モノ”の場合は単にデータを取得する仕組みがあればよかったが、その向こう側の顧客にアプローチするとなると、データの取得だけでなく、顧客と“対話”できて、それをよりよい体験に結び付けるコラボレーションのシステムに移行する必要があるとベニオフ氏は説く(写真2)。

 ベニオフ氏はこうしたビジョンを述べるとともに、66%の企業は顧客の詳細を把握していないとする米IBMの調査結果を引用。顧客とつながるための新しいシステム、新しいアプリケーションを開発するには、次世代型のプラットフォームが必要であるとし、それこそがセールスフォースの提供するプラットフォームだとした。また、「2017年には、CIO(最高情報責任者)よりCMO(最高マーケティング責任者)の方が多くのIT予算を持つことになる」とも述べた。

 同氏が示したスライドには、同社が2013年7月に買収を完了したクラウド型マーケティングサービスを提供する米ExactTargetの名前が「Marketing Cloud」に冠される形で登場(写真3)。ExactTargetが提供するクロスチャネルのマーケティング自動化プラットフォームである「Fuel」も「Salesforce Platformサービス」として位置付けられている。ベニオフ氏は新たなAPIの提供についても触れたが、これらの具体的な内容は11月18日から米国サンフランシスコで開催される同社最大のイベント「Dreamforce 2013」で明かされることになる。