日本IBMが2013年10月28日に開催したプライベートイベント「Innovate2013」に、ヤフー CMO (Chief Mobile Officer)室の河合太郎氏が登壇、「リーン・スタートアップ」をテーマに講演した(写真1)。

写真1●ヤフーの河合太郎氏
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 Innovate2013のテーマは、最近話題の「DevOps」。開発(Dev)と運用(Ops)を含む一連のソフトウエアのライフサイクル全体を最適化しようとするものである。河合氏の講演テーマであるリーン・スタートアップは、短いサイクルで仮説の実装と検証を繰り返すアプローチで、成功率の高いビジネスモデルの確立を目指している。DevOpsに近い考えであることから、特別講演として企画されたものだ。

 河合氏は、2012年の経営新体制以後に掲げる「爆速」経営と、リーン・スタートアップの関連性について語った。河合氏は「なぜ爆速か?」という問いに対して、「誰も正解が分からない中で魅力あるサービスを生み出すには、スピードが必要だから」という答えを提示した。リーン・スタートアップの考えが、同社の爆速経営にマッチしたというわけである。河合氏は「リーン・スタートアップの適用領域は、企業規模に依存しない」という。

 同氏がリーン・スタートアップの実践例として示したのが、ヤフーが提供するライフログアプリ「僕の来た道」。発案当初、同アプリはGPSで測位した位置情報をひたすら記録していくもの(GPSロガー)だったという。このアプリが本当に市場に受け入れられるか検証するため、最低限の機能を実装して社内で試用してもらったところ、バッテリーの消費が大きすぎて使いものにならないことが判明。さらに、社内でのヒアリングを通じて、GPSほどの位置精度は必要なく、町単位の大雑把な記録があればいいことが分かった。そこで、実際の商品ではGPSロガーではなく、「ライフログ自動化ツール」として製品化したという。