図●第1回大学情報入試全国模擬試験の点数分布
図●第1回大学情報入試全国模擬試験の点数分布
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 情報処理学会の情報処理教育委員会と初等中等教育委員会は、2013年高校教科「情報」のあり方について議論する「高校教科『情報』シンポジウム2013秋」を、2013年10月26日に開催した。シンポジウムでは、情報入試ワーキンググループと情報入試研究会が2013年5月に実施した「第1回大学情報入試全国模擬試験」の報告を中心に、高校における情報教育のあり方を議論した。

 シンポジウムでは、5月に実施した「第1回大学情報入試全国模擬試験」の結果を、慶應義塾大学環境情報学部の植原啓介准教授が発表した。模擬試験は、高校教科「情報」における「情報の科学」と「社会と情報」を試験範囲とした90分の試験で、全国5カ所の試験会場および団体試験会場で実施した。

 模擬試験の受験者数は全体で80人、そのうち47人が高校生だった()。受験者全体の平均点は53点、そのうち高校生の平均点は34.1点だった。植原准教授は模擬試験の成果として、教科「情報」を題材とした試験の内容や運用に関して一定の知見を得られたことを挙げた。今回得られた成果は、来年以降に予定している同様の模試の運営に生かしていくという。

学習達成度調査やAO入試に使える枠組み作りへの要望も

 発表後の質疑応答では、高校で情報科目を担当する教員らから、問題作成の狙いに関する質問や、高校生の模擬試験への参加を促進するための提案が数多くあった。問題作成については、高校生は通常「社会と情報」「情報と科学」のどちらか一科目しか履修しないことから、ぞれぞれの学習範囲に合わせた問題を作成・受験できるようにすることで、高校の学習達成度調査にも利用したいという意見があった。また試験の実施方法については、各種検定試験と同様に模擬試験のスコアを大学のAO入試の参考資料として用いるような枠組みが作れないかといった提案があった。

 情報処理学会の情報入試ワーキンググループと情報入試研究会では、2014年2月22日に第2回の大学情報入試模擬試験を予定している。次回は高校での団体受験で利用しやすいように、実施時期や試験時間を見直す予定である。