写真1●KDDIの田中孝司社長
写真1●KDDIの田中孝司社長
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写真2●増益の要因として通信料収入増が大きく貢献
写真2●増益の要因として通信料収入増が大きく貢献
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 KDDIは2013年10月28日、2013年度第2四半期の連結決算を発表した。2013年度上期(4月~9月)の合計で、売上高は前年同期比18%増の2兆538億円、営業利益は同50.3%増の3476億円と大幅な増収増益だった。

 売上高増は、スマートフォンシフトが進んだことによるデータ通信量収入と端末販売収入の増加、さらに連結子会社化したジュピターテレコム(J:COM)の影響が寄与した。大幅増となった営業利益については、「(J:COMの影響を含まない)パーソナルセグメントのモバイル通信料収入と固定通信料収入の合計が631億円増となり、これが増益総額の54%と大きく貢献した」と同社の田中孝司社長は説明した(写真1写真2)。

 KDDIは今期以降、2016年度まで毎期連続、営業利益二桁成長を目標として掲げている(関連記事:KDDIの通期決算は増収増益、今期は営業利益20%超成長を目指す)。田中社長は「この目標に向けて、順調に進捗している」と今期の決算を総括した。

スマホ浸透率は42%、スマバリ世帯内au契約数は1.89に

写真3●au通信ARPUの前年同期比の推移
写真3●au通信ARPUの前年同期比の推移
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写真4●auスマートバリューの推移
写真4●auスマートバリューの推移
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 通信料収入増を支える主な指標について、まずベースとなるau通信ARPUは、第2四半期は前期と比べて70円増の4180円となった。同社は2013年2月の時点で、月次ベースでのARPUが底打ち反転ペースに入っている。四半期ベースのARPUは1年前は前年同期比8.2%減と悪化していたが、今期は同1.4%減まで状況が改善した(写真3)。田中社長は「今期の重点項目である第4四半期での前年同期比反転に向けて、ARPUは急速に改善している」とした。

 ARPUの底上げを支えるスマートフォンへのシフトについては、第2四半期における同社ユーザーのスマホ浸透率は42%に達した。田中社長は「今年度末までに5割弱まで推進すると予想している。日本のスマホの浸透率は世界的に見てまだまだ低い。将来的には8割程度まで広げられるのではないか」という見方を示した。

 FTTHおよびケーブルテレビなど指定の固定通信サービスと組み合わせて利用することでauスマホの利用料金を割り引く「auスマートバリュー」は、モバイル側が540万契約、固定側が286万契約に達した(写真4)。モバイル側のau契約数を固定側の世帯数で割った世帯内au契約数(1世帯におけるスマートバリューの契約数)は1.89に達した。家庭内における連鎖比率が高まってきていることがうかがえるが、田中社長は「統計的に見るとさらに2.5程度まで高められるのではないか」とした。

 なお同社は「auスマートバリューmine」として、auスマホとWiMAX 2+ルーターのセットで利用料金を割り引くサービスを11月から開始する。「都心に近づくほど一人暮らしの人が多く、なぜスマートバリューのような割引が得られないのかという声を多数もらっていた。auスマートバリューmineはその声に応えるサービスで、急速に増えていくのではないか」(田中社長)と語った。

ドコモiPhoneの影響、「当初の予想よりも好調に推移している」

 下期に向けては、NTTドコモがiPhoneを導入したことで競争環境が大きく変化している(関連記事:NTTドコモの上期決算は減収増益、「iPhone導入効果は着実に見えてきた」)。田中社長は直近のドコモiPhoneの影響については、「幸いなことに大きな変化はない。好調にMNPポートインが増えており、当初の予想よりも好調に推移している」とした。ただし発売開始から1カ月が過ぎてiPhoneの需給も変わってきており、ドコモのiPhone取り扱い店舗も増えていることから、今期の業績予想の修正については「今後の動きを見定めてから検討したい」(田中社長)とした。

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