ドイツの週刊誌「SPIEGEL」は、米情報当局がベルリンの米国大使館を盗聴拠点としてAngela Merkelドイツ首相の携帯電話をはじめとする様々な通話を傍受していたと報じた。

 SPIEGELオンライン版に現地時間2013年10月27日に掲載された記事(英語版)によると、米国家安全保障局(NSA)と米中央情報局(CIA)の共同チームは大使館の屋根からドイツ首相官邸など行政機関の通信を幅広く監視していたという。同誌がNSAの情報収集問題を告発した元CIA職員のEdward Snowden氏から入手した極秘文書や、情報当局職員への取材から得た情報にもとづいた見解だとしている。

 問題の共同チームは「Special Collection Service(SCS)」と呼ばれ、フランスのパリ、スペインのマドリッド、イタリアのローマ、チェコのプラハ、スイスのジュネーブなど欧州19カ所を含む世界約80カ所で活動している。

 ドイツではベルリンとフランクフルトを拠点として、大使館や領事館で盗聴活動に携わっているが、公式には外交官の肩書きであるため外交官特権を与えられている。建物の屋上や屋根に設置した高度な盗聴設備を使用し、携帯電話信号、無線ネットワーク、衛星通信など主要な通信方式のほとんどを傍受できるという。

 SPIEGEL誌は、SCSがMerkel首相の盗聴を2002年以降、10年以上にわたって実施していた可能性があるとも報じている(英Guardian)。

 これとは別に米国では10月26日に、NSAの個人情報収集に抗議する集会「Stop Watching Us」がワシントンD.C.で開催された。9月18日から呼びかけが始まり、米国愛国者法(USA PATRIOT Act)の成立12周年にあたる当日は数千人が集まったという。