写真1●NTTドコモの加藤薫社長
写真1●NTTドコモの加藤薫社長
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●iPhone導入効果。MNPポートアウトは前年同期比で大幅に改善しているという
写真2●iPhone導入効果。MNPポートアウトは前年同期比で大幅に改善しているという
[画像のクリックで拡大表示]

 NTTドコモは2013年10月25日、2013年度第2四半期の連結決算を発表した。2013年度上期(4月~9月)の合計で、売上高は前年同期比4%減の2兆1990億円、営業利益は同4%増の4732億円の減収増益だった。

 同社の加藤薫社長(写真1)は、「上期はツートップ戦略など、メリハリのある販売施策を行ったことでコスト抑制につながり、増益を確保した。営業利益の年間計画である8400億円の達成に向けて順調な決算となった」と総括した。

 一方、誤算となったのが純増数が伸び悩んだことだ。今期の新規端末販売数は前年同期比並みの344万。ただそのうち純増数はわずか24万にとどまっている。昨年の他社からのiPhone 5の販売以降、ドコモの解約率は上昇を続けており、MNPのポートアウトも39万と「以前、厳しい状況が続いてる」(加藤社長)。これらの要因が純増数の足を引っ張った。

 加藤社長は「下期は、ドコモがiPhoneの取り扱いを始めたこともあり、キャリアの総合力が問われる新たな競争ステージが始まると考えている」と説明。iPhone導入によってMNPポートアウトを抑え、さらにデバイス、ネットワーク、サービス、料金・チャネルによる総合力によって、競争力を強化していきたいと意気込みを話した。

2014年第2四半期以降に全社の体制を一新する計画

 そんな下期の取り組みの一つの鍵を握るiPhoneについて、加藤社長は「9月20日の販売開始以降、着実に導入効果が見えている」と説明する。

 ドコモによるiPhone販売は、発売開始当初は端末自体が品薄で、ドコモショップによる取り扱いも全国約2400店舗の半数以下である1050店舗でスタートしている。「当初はユーザーや競争への対応が十分ではなかった」(加藤社長)と反省しつつも、発売第1週でMNPのポートアウトは前年同期比で33%改善したという。なおその時点ではドコモのiPhoneではspモードメールに対応していなかった。spモードメールに対応した発売後第3週目においては、MNPのポートアウトはさらに同54%という改善を見せたといい(写真2)、「直近の数値も同様の改善傾向が続いている」(同)という。iPhone取り扱い店舗も増やしており、現時点では1500店舗、週明けの10月28日にはほぼ全店舗となる2350店で取り扱いを開始する計画とする。

 なお加藤社長は、新しい事業変化に対応するため、2014年第2四半期以降にグループ会社を含めた全社体制を一新する考えも示した。具体的には新領域事業や法人営業など、同社が強化領域とする事業へリソースをシフトする。さらに子会社のグループフォーメーションも最適化していく計画という。「今年中には青写真を完成させ、構造や体質を変えながら新たなフェーズへと邁進していきたい」(加藤社長)とした。

[決算情報]