写真●ワイヤ・アンド・ワイヤレス 商品企画本部 部長の西野 仁氏
写真●ワイヤ・アンド・ワイヤレス 商品企画本部 部長の西野 仁氏
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 ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)は2013年10月21日、「公衆無線LANサービスの取り組み」と「無線LAN事業の可能性&今後の事業戦略」をテーマにした記者説明会を開催した。商品企画本部 部長の西野 仁氏が説明に立った(写真)。

 Wi2は自前設備による公衆無線LANサービスを提供しているのに加えて、KDDIの公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」でも役務提供者(インターネット接続サービスを提供する事業者)として事業の一端を担っている。2012年12月時点で、20万超のアクセスポイントでサービスを運営している(au Wi-Fi SPOTを含む。なお、これ以降のアクセスポイント数は非公開)。

 空港やバス、駅、商業施設やカフェ、屋外エリアや商店街など多くのユーザーが集まるエリアを中心に、無線LANエリアを展開。また「行政・地域との積極的な連携」や「観光エリアの充実などに貢献する、インバウンド(外国人)向けの無線LAN環境提供」「災害時のサービス開放」などの取り組みを進めている。

 西野氏は「公衆無線LANの役割は年々変化してきている」と指摘する。以前は、ノートPCを中心とした一部の限られたユーザーが利用していた。だが、2011年頃からスマートフォンのトラフィックをオフロードするインフラという側面がクローズアップされ、各通信事業者は一気に無線LANスポットの拡大を図った。

 すると、無線LANを導入した店舗などから、“自社の販促に使いたい”といったニーズが出てきた。Wi2では、2012年頃から顧客への提案活動も始めたという。そして特に2013年度からは、無線LANで割り出した場所を記録させたり、複数のアクセスポイントからの電波を用いて位置を特定させたりする活用方法も登場した。

 西野氏は、こうした「インフラ+α」のサービス展開を今後のポイントに挙げる。例えば同社では、ローソンやスターバックスなどで、Wi2やKDDIの公衆無線LANサービスに加えて、顧客専用のSSIDによる独自ブランドの無線LANサービスも提供できるようにしている。独自ブランドの無線LANサービスは、限定コンテンツを出すなど顧客側のニーズを満たすのが目的だ。

 西野氏は、今後企業ニーズは「新規顧客を増やす」「来店回数を増やす」「顧客一人ひとりに合わせたアプローチや情報配信をする」など多様化するし、公衆無線LANではインフラとアプリ、外部情報などとの組み合わせによって高機能化が進む、と説明した。そのため公衆無線LANは、センサーのように使ったりアプリケーションと連動したり、企業が持つIDと連携させたりすることで、「多様化するニーズに応える、“高機能なB2B2Cのソリューション”としての役割を求められるようになるだろう」と指摘した。