写真1●米Boxでグローバル・マーケティング担当SVP兼エンタープライズ担当GMを手がけるホイットニー・バウク氏
写真1●米Boxでグローバル・マーケティング担当SVP兼エンタープライズ担当GMを手がけるホイットニー・バウク氏
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写真2●ボックス・ジャパン代表取締役社長の古市克典氏。Boxに参加する前は日本ベリサインの代表取締役社長を務めた
写真2●ボックス・ジャパン代表取締役社長の古市克典氏。Boxに参加する前は日本ベリサインの代表取締役社長を務めた
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 「日本での知名度は低いが、企業向けの機能が豊富。単にファイルを共有するだけのクラウドストレージとは違う」――。

 クラウド環境のストレージサービスである「Box」を運営する米Boxは11月に日本法人ボックス・ジャパンのオフィスを東京・大手町に開設し、日本市場進出に本格的に取り組む。イベントのために来日したBoxのグローバル・マーケティング担当SVP兼エンタープライズ担当GMのホイットニー・バウク氏と、日本法人社長に就任した古市克典氏に話を聞いた(写真1写真2)。

 Boxは一般ユーザー向けと企業ユーザー向けがあり、一般ユーザー向けのサービスを見ている限り「DropBox」や「Google Drive」といったクラウドストレージサービスとほとんど変わらない。無償でも10GBと多少容量が大きいサービスといった印象だ。だが、実際は「他社のサービスが同期と共有に特化しているのに対し、Boxは共同作業プラットフォームとして機能し、ワークスペースの共有やワークフロー制御などの機能も備えている。これが大きな違いだ」(バウク氏)。

 例えば共有用のリンク一つにしても、単に読み書きの権限だけでなく、プレビューのみ可能にするなど多段階の設定が可能だ。また、もう一つの重要な点としてセキュリティ面を挙げる。格納したデータはすべて暗号化されており、Boxがデータを取り扱う方法についてはすべて顧客に開示するという。また場合によっては、データの復号化を顧客しかできないようにすることも検討している。

 同社はこれまで欧米を中心に直販を中心にビジネスを手がけてきたが、日本では代理店を通じて販売する。その第一弾が8月に契約を結んだマクニカネットワークスだ(関連記事:Active Directoryと連携可能なクラウドストレージ「Box」、マクニカネットワークスが初披露)。

 今後SIerやアプリケーション開発ベンダーを開拓する。「多くのクラウドサービスの事業者は、直販でビジネスを展開している。これは、サービスの実績を作るのが先決だからだろう。しかしBoxは欧米ですでに18万社以上に導入されている実績があるので、より広範な顧客に届くよう代理店を通すことにした」(古市氏)。

 重視しているのがアプリケーション開発ベンダーで、「OneCloud」と呼ぶBoxサービスと連携するアプリケーションを紹介する場を設けている。日本語対応のアプリを増やし、OneCloudの日本語版を作りたい考えだ。また現時点では知名度の低さを課題と認識しており、欧米での事例などを中心に日本語の情報発信を増やしていく計画だという。