欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は現地時間2013年10月17日、韓国Samsung Electronicsがモバイル通信向け標準必須特許の使用に関する訴訟を自粛する意向をECに示したことを明らかにした。ECはこれについて1カ月間、関係者から意見を募集する。

 ECは、Samsungが米Appleなどを相手取って不当な訴訟を起こすことで市場競争を妨げた疑いがあるとして、2012年1月にSamsungに対して競争法(独占禁止法)違反に関する正式調査を開始した(関連記事:欧州委、Samsungを競争法違反の疑いで正式調査へ)。Samsungが侵害されたと主張する特許の一部は、標準必須特許(SEP)として公正で合理的かつ差別のない(FRAND:Fair, Reasonable, and Non-Discriminatory)条件のもとで他社にライセンス供与することが宣言されていることを、ECは指摘している。

 Samsungは今回、ECの懸念に対応するために、今後5年間、特定のライセンスの枠組みに合意した企業に対して差止を求める訴訟を起こさないことを提案した。ECが関係者からの意見をもとにこれを承認すると、Samsungの提案は法的拘束力を持つことになる。

 米メディアの報道(SlashGear)によると、ECがSamsungを競争法違反と判断した場合、年間売上高の最大10%にあたる罰金を科せられる可能性があり、Samsungはこれを回避するために訴訟自粛を提案したと見られる。

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