写真1●MSR930の外観
写真1●MSR930の外観
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写真2●HSR6800の外観
写真2●HSR6800の外観
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写真3●日本ヒューレット・パッカード、HPネットワーク事業本部長、多田直哉氏
写真3●日本ヒューレット・パッカード、HPネットワーク事業本部長、多田直哉氏
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 日本ヒューレット・パッカードは2013年10月17日、WANを介して拠点間をIPでつなぐネットワークエッジルーターの新製品を発表、同日販売を開始した。拠点向けからデータセンター向けまで、全6シリーズを一度に投入する。これまで同社のルーター機器は1機種だけだったが、今後成長が見込めるルーター市場に対して、フルラインアップ構成で参入する。アピールポイントとして価格性能比の高さをうたう。2016年にシェア10%を目指す。開発会社は米Hewlett-Pacard。

 6種類のルーター機器をそろえた。拠点向けの「HP MSR Router」(全4シリーズ)と、データセンター/本社向けの「HP HSR Router」(全2シリーズ)である。最下位シリーズ「MSR930」(写真1)はボックス型で、WANは1Gビット/秒×1、価格は9万300円(税込み)。最上位の「HSR6800」写真2)はシャーシ型で、ラインモジュールは2~8枚(最大276Gビット/秒)。価格は469万4550円(同)から。

 他社と比べた特徴について同社は、「同一価格帯の競合製品と比べてパケット処理性能が高い」と説明する。最下位のMSR930の性能は30万パケット/秒で、1万円当たりのパケット処理数を測った実証実験では、競合製品の3倍以上の性能を出せたとしている。中堅ルーターのMSR3012(260万パケット/秒)では、1万円当たりで競合製品の8倍以上の性能になったという。最上位のHSR6800(1億2000万~4億2000万パケット/秒)も、価格性能比で競合他社の数倍になるという。

 各種設定/運用管理用のCLI(コマンドラインインタフェース)の仕様は、同社のスイッチ製品群と共通で、独自のもの(最下位のMSR930では、CLIに加えてWeb管理画面も提供)。また、全シリーズ共通で、拠点間のVPN接続の設定負荷を軽減する独自機能「Dynamic VPN」を備える。これを使うと、VPN設定作業の93%を削減できるという。拠点側ルーターでは、グローバルIPアドレスが固定ではなく動的に変わる環境でも構わない。

 同社は、ルーターの高性能化が求められる背景として、モバイル端末の普及やハイブリッドクラウド化による複数データセンター間接続などにより、WAN経由のトラフィックが急増している状況を指摘する。同社でHPネットワーク事業本部長を務める多田直哉氏(写真3)はIDCの調査結果を引き合いに出し、国内のエンタープライズ向けルーターの市場規模は2013年の1255億円に対し、2017年時点では9.0%成長するという。一方、スイッチは1.5%成長にとどまるとした。