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 2013年10月18日まで東京都内で開催中の高度道路交通システム(ITS)を推進する「ITS世界会議 東京2013」では、無線技術を活用して自動車の安全性や利便性を高める新システムの出展が相次いだ。中でも日本が実用化を目指している700MHz帯を使った車車間通信による安全運転支援システムは、トヨタ自動車やパナソニック、沖電気工業(OKI)、デンソーなどが展示に力を入れ、来場者の注目を集めた。

 システムの特徴は、交差点など見通しの悪い場所で自動車同士があらかじめ通信することで、運転者に他車が接近していることを知らせて衝突回避へ注意を促すことだ。車車間通信通信に加えて、路上に設置した自動車センサーや通信機から交差点に進入する車に警告情報を配信するといった路車間通信の機能も実装する計画である。

 展示会では、パナソニックやOKI、デンソーなどが車載向け通信モジュールの試作機を出展した。さらにパナソニックは、児童が鞄に取り付けて携帯することを想定した歩行者向け通信端末の試作機も披露した(写真)。自動車が近づいたら端末が警告音を発して歩行者に注意を促す仕組みである。

 トヨタ自動車は、デンソーの試作機やIHIが試作した路上施設向け装置などを含めて、システム全体の試作機をそろえた。近接車の存在を知らせる警告などの情報は、ハイブリッドカーなどに搭載されているマルチインフォメーションディスプレイに表示して、運転者に注意を促す。

 700MHzは、地上アナログ放送の終了で空いた帯域から10MHzがITS向けに割り当て済み。総務省が実施した実験では、交差点から180m程度の通信距離が確保できることから、安全運転支援の車車間通信システムに使う方針を決めている。