写真1●米クアルコムのクリス・ボローニ=バード博士
写真1●米クアルコムのクリス・ボローニ=バード博士
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 米クアルコムは2013年10月16日、東京都内で自動車業界向けの事業戦略説明会を開催した。

 現在東京都内で開催されている「ITS世界会議 東京2013」に合わせて来日したのは、クリス・ボローニ=バード博士(写真1)。同博士は、米ゼネラルモーターズ(GM)で将来の自動車のコンセプト設計、米クライスラーで燃料電池開発に従事していた。2010年には、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授と共に「Reinventing the Automobile: Personal Urban Mobility for the 21st Century」(邦題:「考えるクルマ」が世界を変える)を出版したことでも知られている。

 同博士が紹介した取り組みの一つは、車載向けの通信技術。車内エンターテインメントの次の取り組みとして、車車間通信に自動車と歩行者間通信に大きな可能性があるとする。自動車と歩行者間通信では、歩行者のスマートフォンには自動車の接近を、運転手には歩行者の存在をそれぞれ通知するなど、事故を未然に防ぐことができるとする。その実現のための主要技術は、5.9GHz周波数帯を利用するDSRC(Dedicated Short Range Communications)で、クアルコムは試作機を作成している。

 もう一つが、高出力の無線給電システム。同社の無線給電システム「Halo」では、家庭や公共施設における静止給電のほか、走行中の道路からの給電も視野に入れている。走行給電が実現すれば、電気自動車に搭載される電池も小容量のもので済むことになり、低価格化に貢献できるとした。同社は、2014年にも始まる予定になっている、電気自動車版のフォーミュラカーによるレース「FIA(国際自動車連盟)Formula E」にも協賛している。