写真●うめ屋の福岡カメラ
写真●うめ屋の福岡カメラ
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 一般社団法人KAI OTSUCHIと福岡の辛子明太子店うめ屋は2013年10月15日、福岡観光用iPhoneアプリ「うめ屋の福岡カメラ」をリリースした。博多明太子など、福岡を連想させるフレーム・スタンプを備えたカメラアプリ。KAI OTSUCHIは被災地である岩手県上閉伊郡大槌町にITで雇用を作ることを目的として設立された組織。KAI OTSUCHIの活動を知ったうめ屋がアプリの開発を依頼した。

 KAI OTSUCHIは、関西大学と大槌町による震災復興支援プロジェクトSHIP(Sledge Hammer Inspiration Project:「すすめ!大槌プロジェクト」)から生まれた社団法人。2012年7月に関西大学と大槌町が連携協力協定を締結し、同年8月より大槌町の公民館で、地元のアプリ開発未経験者に研修を実施。関西のアーティフィス、アプリルの2社が無償で協力した。

 4カ月間の研修ののち、2013年1月に初のiPad絵本アプリ「インディアンの森」をリリース(関連記事:被災地大槌町の未経験者がiPadアプリを制作・公開、関西大学などが研修支援)。2013年7月に初の受託案件として京都のリーフ・パブリケーションズと、京都観光用iPhoneアプリ「Leafの京都カメラ」をリリースした(関連記事:被災地大槌町で京都の観光アプリ開発、関西大学などが地元の未経験者を育成し雇用創出)。

 「うめ屋の福岡カメラ」は、KAI OTSUCHIにとって第2弾となるカメラアプリ。撮影した写真にフレームやスタンプ、ラクガキを加えることができる。またFacebook、Twitterへの投稿も可能。iPhone本体を振って写真を撮影する機能もある。海外からの観光客に向け英語にも対応している。また、福岡のご当地アイドルQunQunの協力により、QunQunのフレームやスタンプも追加する予定。App Storeから無料でダウンロードできる。

 うめ屋は、福岡で辛子明太子の製造・販売を行っている。アプリ開発をきっかけに、うめ屋と大槌町の海産物のコラボレーションによる新商品開発企画も始める。「アプリの枠を越えて、明太子で大槌町と福岡がつながり、大槌町の海産物のPRとなるようにお手伝いしていく」(うめ屋)。

 「うめ屋の福岡カメラ」を中心となって開発したのは大槌町出身で、震災後に盛岡から故郷に戻った三浦理恵子氏。受けるまでプログラミングの経験はなかったが、研修を受け、アプリ開発を習得した。現在、三浦理恵子氏ら2人が正職員として、ほかにパートとして5人がKAI OTSUCHIに就職、計7人の雇用が生まれている。

 三浦氏は「今回、アプリ開発を通して、大槌町と福岡の企業を結びつける企画をスタートさせることができた。今後もアプリ開発のみにとどまらず、開発を通してできた繋がりを大切に活動を行っていきたい」としている。