写真1●総務省 情報流通行政局情報通信利用促進課長の佐藤安紀氏
写真1●総務省 情報流通行政局情報通信利用促進課長の佐藤安紀氏
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写真2●高度ICT利活用人材育成カリキュラムの特徴(スライド)
写真2●高度ICT利活用人材育成カリキュラムの特徴(スライド)
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写真3●オープンガバメント・コンソーシアム監事の佐伯康雄氏
写真3●オープンガバメント・コンソーシアム監事の佐伯康雄氏
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 東京ビッグサイトで開催されたITpro EXPO 2013最終日の2013年10月11日、「発表!総務省のクラウド&ビッグデータ時代に求められるICT人材育成教育」と題したセミナーが開催された。

 最初に、総務省から情報流通行政局情報通信利用促進課長の佐藤安紀氏(写真1)が登壇。ビッグデータ時代におけるICTの利活用をリードする人材像として同省が策定した「高度ICT利活用人材」と、開発中の「高度ICT人材育成カリキュラム」の概要を披露した(写真2)。

 佐藤氏は、主要ICT国際指標(ICT開発指数、ICT産業競争力指標、デジタル経済指数、電子政府発展指数など)で、日本の順位は軒並み15位前後かそれ以下であることを挙げ、「国際的にICT利活用が拡大するなか、日本は遅れをとっており、それが国際競争力をも削いでいる」と育成策の重要性を訴えた。このカリキュラムをモニター利用したい場合、総務省のサイトで申し込めば送料のみの負担で入手可能だ。

 続くパネルディスカッションには、研究、地方自治、ビジネスの各分野から4人のパネラーが登壇、ビッグデータ時代のICT利活用について、それぞれのおかれている状況や取り組み、要望などを述べた。オープンガバメント・コンソーシアム監事の佐伯康雄氏が進行役を務めた(写真3)。

「小さい町だからこそ情報が必要」

写真4●いろどり(徳島県上勝町)の滑川里香氏
写真4●いろどり(徳島県上勝町)の滑川里香氏
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写真5●高度ICT利活用人材育成推進会議 座長の神岡 太郎氏
写真5●高度ICT利活用人材育成推進会議 座長の神岡 太郎氏
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 利用企業の立場から登壇したのは、高齢化と過疎化が進む徳島県上勝町で、刺身などのツマ向けに山林から葉を採取・販売するというユニークなビジネスを軌道に乗せたことで知られる、いろどり(徳島県上勝町)の滑川里香氏(写真4)だ。

 「四国で一番小さい町」、上勝町の人口は1850人。その半分が65歳以上の高齢者だ。しかし、いろどりが契約する「葉っぱ」の生産者200軒中、50軒がタブレット端末を使っており、130軒がPCを持っているという。滑川氏は、90歳代の女性が自宅の作業場らしき場所でタブレットを使っている写真を披露しつつ、「見なきゃ損する情報ばかりを集めて流している」と高い利用率の秘訣を明かした。

 企業高度ICT利活用人材育成推進会議の座長を務める一橋大学教授の神岡太郎氏(写真5)は、これを受けて「お年寄りは普通、IT弱者であることが多いのだが、提供側の工夫次第で強者になれることが分かる貴重な例」と語った。

 いろどりの滑川氏は「小さい町だからこそ情報が重要。当社のような企業にとってビッグデータは絶対に必要だ。しかし過疎地でビッグデータを語るのは大変。横文字、カタカナを排除するなど敷居を低くして情報を過疎地の人に伝えてほしい」と、IT利活用に長けた人材への期待を述べた。