写真1●IDC Japan リサーチバイスプレジデントの中村智明氏
写真1●IDC Japan リサーチバイスプレジデントの中村智明氏
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写真2●第3のプラットフォームはクラウド、ビッグデータ、モビリティ、ソーシャルビジネスが中心になる
写真2●第3のプラットフォームはクラウド、ビッグデータ、モビリティ、ソーシャルビジネスが中心になる
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 2013年10月11日、IDC Japan リサーチバイスプレジデントの中村智明氏が「3rd PlatformがもたらすIT市場のトランスフォーメーション」と題して「ITpro EXPO 2013」のメインシアターで講演し、今後のIT市場の変化とそれに対応するために企業が取るべき対策について解説した(写真1)。

 中村氏はまず、同社が2008年から提唱してきたコンセプトである3rd Platform=第3のプラットフォームについて説明。「クラウド、ビッグデータ、モビリティ、ソーシャルビジネスの4領域から成る。これらの要素がはっきりと分立しているのではなく、組み合わせて提供するビジネス形態となっている。ハード、ソフト、サービスが別々に存在していた第2のプラットフォームと比較して、まったく土俵が変わってしまった」と解説した(写真2)。ちなみに、第1のプラットフォームはメインフレーム、第2はクライアント/サーバーである。

 続いて4つの領域それぞれについて、今後の展望を述べた。まずビッグデータに関しては、それを読み解くキーワードとしてVariety(多様)、Volume(大規模)、Velocity(超高速)、Value(経済的価値)の四つのVを紹介。続いて500社に対して実施したアンケートの結果では、36%が取り組む予定なし、約20%が不明と答えたことを踏まえて「ビッグデータ活用は、まだ黎明期にある」と解説した。現在取り組んでいる企業でも、「データを取捨選択する基準が不明確」「インフラ整備コストがかかりすぎ」などの課題を抱えているという。市場規模は、2016年まで年平均30%を超える成長を続けて、世界で238億ドル、日本国内で765億円になるとの予測を披露した。

 続いてクラウドに言及。この分野では大きな構造変革が既に起こっているとし、「ユーザー企業への調査結果を見ると、導入時に60%の企業が2社のサービスしか検討していない。つまり3位では生き残れないということ」(中村氏)だとした。また、オンプレミス型は敬遠され、管理サービスの付属したホステッド型の人気が高まっている点を挙げて、「その結果として、機器などを売り込む先が減っている。従来のように、ユーザー企業に営業しても成果は上がらない」と指摘した。

 ソーシャルの普及については、営業戦略に大きな影響を及ぼしているとした。まず顧客側は、営業に聞かなくても、ネットを調べればある程度、商品やサービスの知識や評判が得られる環境となってきている。中村氏は「これまでのように顧客に直接働きかけているだけではダメ。評判を良くするには、インターネット上の情報を変えなければならず、そのためにはソーシャルメディアを通じてよい影響を与える必要がある」と説明した。

 モビリティについては、2017年までの予測では、世界市場も日本市場も成長を続けるが、デスクトップPCとモバイルPCの出荷台数はほぼ固定され、市場拡大部分はタブレットとスマートフォンが占有すると解説した。

 最後に中村氏は、「第3のプラットフォーム時代ではソリューションの競争になる。マーケティングのやり方を、これまでの製品を中心としたProduct Outの思想から、個人個人へのアプローチを中心としたPeople Inに変えなければならない」と提言して、講演を締めくくった。