写真●Pivotalジャパンのビッグデータ分析ツール「Pivotal HD」のデモ。OS X上のVMware仮想マシンで動作させている
写真●Pivotalジャパンのビッグデータ分析ツール「Pivotal HD」のデモ。OS X上のVMware仮想マシンで動作させている
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 米EMCグループのデータベース関連ソフトベンダーであるPivotalジャパン(東京都渋谷区)は、2013年10月9日~11日に開催された「ITpro EXPO 2013」に、非構造化データ処理ソフトウエアの「Pivotal HD」を参考出展し、デモを披露した(写真)。日本国内では今冬の発売を目指している。

 Pivotal HDは分散バッチ処理ソフト「Apache Hadoop 2.0」をベースにした“ビッグデータ”解析用のソフトである。大量のログや画像、テキスト、センサー取得データなどを分析するのに使う。構造化されていないこれらのデータを国際標準の「SQL」形式のクエリー(問い合わせ命令)で扱えるため、Hadoopを熟知していないIT技術者でも高度な分析を実行しやすいというメリットがある。

 米Pivotalは2013年4月の設立で、日本法人は7月に設立されたばかりだ。EMCグループ以外に、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が資本金の10%を出資している。「GEは『インダストリアル・インターネット』という構想を掲げており、ビッグデータ分野の事業展開を加速させたいEMCの方向性と合致して、出資していただいた」(展示担当者)という。

 インダストリアル・インターネットとは、GEが製造販売する航空機エンジンや医療機器などの製品から得られる膨大なセンサーデータをネット経由で収集・分析して事業活動に生かす構想を指す。すでにGEは、研究開発部門の一部でビッグデータ分析用途でPivotal HDを利用している。将来的には、稼働中のGE製品から得られる非構造化データの分析にPivotal HDを活用していく方針である。

 Pivotal HDは日本では未発売で価格は未定。米国では1サーバー当たり年間約1万ドルのライセンス料で販売している。Pivotalには約50人の「データサイエンティスト」を抱える「データサイエンスラボ」部門があり、データサイエンティストのコンサルティングからソフト販売までを一貫して手がける体制を整える。

 EMCグループは、ストレージ製品で大きなシェアを持つ。だが、ビッグデータ分析分野においては、ストレージなどのハードウエアとのセット売りによる「垂直統合モデル」での事業展開はしない方針を掲げている(関連記事)。「競合他社のようにハードウエアとセット販売するのではなく、あくまでデータ分析ソフトに特化したい」(展示担当者)。

 Pivotal HDは現状はオンプレミスのLinuxサーバー(Red Hat/CentOs)での動作のみをサポートするが、将来的にはWindows AzureやAmazon Web Servicesなどパブリッククラウド環境で動作するよう開発を進める。VMwareの仮想マシンで動作するPivotal HDの体験版はWebサイトから無償でダウンロードできる。

 なおPivotal HDは、ITpro EXPO AWARD 2013で「ZDNet Japan賞」に選出された(関連記事)。