写真1●BookLooperの個人用書棚の画面
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写真2●電子書籍なら書き込みも平気
写真2●電子書籍なら書き込みも平気
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写真3●メモ機能。他者と書き込み内容を共有できる
写真3●メモ機能。他者と書き込み内容を共有できる
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 京セラコミュニケーションシステムと京セラ丸善システムインテグレーションは、電子書籍配信サービス「BookLooper」を、東京ビッグサイトで2013年10月11日まで開催する「ITpro EXPO 2013」で展示している。

 「BookLooper」は、出版社などがPDFなどデジタルデータに変換した書籍を配信する、クラウドベースのSaaS型ソリューション。専用のアプリやWebブラウザーで利用でき、電子書籍のDRM(デジタル著作権管理)機能や課金・決済機能はもちろん、メモ・マーカー・全文検索などの学習支援機能を備えている(写真1)。

 マーカー機能は、手書きや電子キーボードでの書き込みを可能にするもので、紙とは異なり後で簡単に消去できる(写真2)。メモには共有機能があり、書き込んだ内容を公開して意見やアドバイスなどを募ることができる(写真3)。また、閲覧ページや閲覧時間などの詳細なログを取得する機能もある。

 現時点では、2つの用途での利用を開拓している。1つは「電子教科書配信」。「Maruzen eText Service」という名称で、小規模ながら商用サービスを既に開始している。例えば創価大学看護学部は、2013年4月から同学部の新入生全員にノートPCを貸与すると同時に、このサービスを導入した。京都造形芸術大学通信教育学部も、2013年4月からサービスを導入している。

 また、慶應義塾大学医学部では、2013年4月から最長1年間の電子教科書配信実験を実施している。医学系学術出版社3社(医学書院・南江堂・医歯薬出版)の協力を得て、医学部の2年生全員と教職員の約140人にiPadを配布し、授業や自宅などで利用してもらう。その結果を分析して、学習・研究に適した電子出版物の利用モデルや、商品モデルの開発に必要な基礎データの収集を行う。青山学院大学経済学部でも、2014年4月からの本格導入をにらんで、2013年9月から実証実験を開始した。

 このサービス・プラットフォームの利用料金は、ユーザー1人当たり月額600円(最大1000人までの場合)。コンテンツの利用料金が別途必要となる。

 もう1つは「電子図書館」。こちらはまだ商品化されておらず、東京大学をはじめ神戸大、大阪大、慶応大、立命館大など7大学で実証実験を進めている。例えば東京大学では、電子情報と実物の書籍を連携して利用できるハイブリッド図書館の実現を目指している。

 電子書籍への書き込み機能をSNS的に利用して、知識の共有や議論の深化や、コミュニケーションの活性化を狙う構想があり、BookLooperを導入して教職員や学生に電子書籍を体験してもらう実験を2013年10月に開始した。検索結果やアクセスログなどのビッグデータを分析して、今後のサービス拡充に生かす計画だ。