写真1●バングラデシュICT省政務官 兼 ハイテクパーク庁長官 ホスネ・アラ氏
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写真2●バングラデシュ・コールセンター・アウトソーシング協会(BACC)会長 アマドル・ホック氏
写真2●バングラデシュ・コールセンター・アウトソーシング協会(BACC)会長 アマドル・ホック氏
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写真3●バングラデシュのIT企業「データソフトバングラデシュ」の最高執行責任者 モンジュール・マンマド氏
写真3●バングラデシュのIT企業「データソフトバングラデシュ」の最高執行責任者 モンジュール・マンマド氏
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 「バングラデシュ政府は全面的にIT産業を支援する」――。「ITpro EXPO 2013」の展示会内で開催した「アジアITサミット」に参加するために来日したバングラデシュICT省政務官兼ハイテクパーク庁長官のホスネ・アラ氏は、2013年10月9日、本誌取材に対してこのように語り、「2015年にはIT関連輸出を10億ドルに拡大したい」(アラ氏)とIT産業の発展に注力する意向を示した。同国のIT関連輸出金額は、現在約1億ドルだという。

 バングラデシュのIT産業を躍進させる起爆剤となるのが、同国政府が推し進めるハイテクパークの設置だ。7カ所に土地を確保しており、既にその内の二つは完成しているという。

 「インフラ整備やインセンティブの準備も進めている」(アラ氏)。ハイテクパークに入居した外資系企業は、10年間法人税や輸出入にかかる税金が免除されるなど、税制面での優遇を受けられる。通信インフラも整備されているという。

 バングラデシュ・コールセンター・アウトソーシング協会(BACC)会長のアマドル・ホック氏も、「政府はITやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)がGDPを押し上げると信じ、積極的な支援策を打っている」と、政府によるIT振興策が進んでいることを強調する(写真2)。

 ホック氏は、日本の主要オフショア先である中国と比較して、バングラデシュの強みを三つ挙げる。一つは廉価な人件費。二つめは約7%という離職率の低さだ。これは、新入社員への教育コストを削減できるメリットにもつながる。三つめは、幼稚園から英語教育を受けている点である。ほとんどのIT人材は、英語を使いこなせるという。

 取材に先駆けてアジアITサミットに登壇したホック氏は、1億6000万人の人口のうち、65%が24歳以下であることを挙げ、「この先5年などというスパンではなく、15年、20年に渡って、十分な人材を確保し続けることができる」(マンマド氏)と、アピールした(写真3)。

 同じくアジアITサミットに登壇した、バングラデシュのIT企業「データソフトバングラデシュ」の最高執行責任者を務めるモンジュール・マンマド氏によると、同国には200社の企業に4万人のIT技術者が所属するほか、10万人に上るフリーランスのIT人材がいるという(写真3)。

 こうした状況を受け、バングラデシュには、既に欧米や韓国の企業が進出している。米インテルやグーグル、ノルウェーの携帯電話事業者テレノア、韓国サムスンなどだ。

 一方で、マンマド氏によるとバングラデシュのIT関連輸出先は、1位が米国、2位が英国で、日本は9位に甘んじているのが現状だ。ただし、BACCのホック氏は「我々は、日本企業の要求に柔軟に対応する準備がある。国際協力機構(JICA)の支援で、ITスキル標準(ITSS)の導入も進んでいる」と説明。「日本は特にアジアに目を向けている国だと認識している。長期的な関係を築けることを望んでいる」と、力を込めて語った。