「ITpro EXPO 2013」で講演する米EMCのハワード・エライアス プレジデント兼最高執行責任者(COO)(写真撮影:後藤究)
「ITpro EXPO 2013」で講演する米EMCのハワード・エライアス プレジデント兼最高執行責任者(COO)(写真撮影:後藤究)
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 情報管理プラットフォーム大手・米EMCのグローバル エンタープライズ サービス担当で、プレジデント兼最高執行責任者(COO)を務めるハワード・エライアス氏は2013年10月10日、東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2013」会場内で「LEAD YOUR TRANSFORMATION」と題する特別講演を行った。

 来場した日本企業の情報システム担当者に向けて、エライアス氏は「企業情報システムは草創期のメインフレームから、クラウドコンピューティングやビッグデータなどに対応した『第3のプラットフォーム』に移行しなければならない。メインフレームのように特定の事務処理を自動化する用途とは違うのだから、特定のITベンダーに『ロックイン』されることなく自社主導で情報システムをコントロールできるようにするべきだ」と強調した。

 エライアス氏は、コンピュータで情報・データを扱うケースによって、求められる「ワークロード(負荷)」の性質が異なることを説明した。金融取引や会計データを扱う場合は、高いサービスレベルが求められるもののデータ容量はごく小さい。一方で、YouTubeのように動画配信サービスを運営する場合などは、多少のデータ欠落は許容されるがデータ容量はとても大きい。

 「『どうしてストレージにいろいろな種類があるのか?』とよく聞かれる。当社はワークロードの性質に応じて最適なストレージ環境を用意するために研究開発投資と企業買収を継続してきた」とエライアス氏はEMCの企業戦略上の立ち位置を説明した。

垂直統合ではなく水平協業

 その一方で、エライアス氏は「あらゆるワークロードにEMC製品を活用してもらうのももちろんありがたいが、“垂直統合”で顧客を囲い込むつもりはない。“水平協業”で事業展開することで、顧客企業に対してEMC以外の製品・サービスを含む幅広い選択肢を提供したい」と述べた。

 具体的に、情報インフラの「EMC II」(EMC本体)、仮想化インフラの「VMware」、データ分析の「Pivotal」、セキュリティの「RSA」というEMCグループの4ブランドが水平協業して顧客企業に選択肢を提供する姿を示した。これらは主に企業が自前で構築する「プライベートクラウド」向けのソリューションをサポートしている。

 EMCの分析によれば企業情報システムのワークロード全体のうち12%程度はプライベートクラウドではなく、Microsoft Windows AzureやAmazon Web Servicesといったパブリッククラウドを活用するのが適しているという。「ビジネスの目的に合わせてMicrosoftやAmazonのクラウドもどんどん使えばよい。EMCは外部のインフラも含めたオープンなコンピュータ環境を構築・運用しやすくするための技術を提供していく」とエライアス氏は強調した。