写真1●日本情報システム・ユーザー協会エグゼクティブフェローの細川泰秀氏
写真1●日本情報システム・ユーザー協会エグゼクティブフェローの細川泰秀氏
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写真2●「契約形態による工期遅延度、換算欠陥率への影響」を記したスライド
写真2●「契約形態による工期遅延度、換算欠陥率への影響」を記したスライド
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 「ユーザー企業とSIベンダーが正しいデータを基に対話してリスクを回避すれば、プロジェクトの失敗は避けられる」---。

 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)エグゼクティブフェローの細川泰秀氏は、東京ビッグサイトで開催している「ITpro EXPO 2013」のメインシアターで「ユーザー調査で浮かび上がるシステム開発の鉄則」と題して講演(写真1)。失敗プロジェクトを避けるためのポイントを分かりやすく解説した。

 細川氏は講演で、興味深いデータを数多く披露した。その1つが「契約形態による工期遅延度、換算欠陥率への影響」。経済産業省は、システム開発の信頼性向上や取り引きの可視化を推進するため、従来の一括請負型契約ではなく、要件定義や外部設計フェーズを準委任型で契約する方式を推奨している。ところが、500人月を超えるシステム開発プロジェクトで調査したところ、4割以上が要件定義と設計・実装を一括請負方式で受発注していたという。

 注目すべきは、工期の遅延やシステムの欠陥との因果関係である。要件定義フェーズを準委任契約したプロジェクトの場合、工期が遅延したのは23.2%。一方、要件定義を含め一括請負方式にしたプロジェクトは、約4割(39.4%)で遅延が発生していた(写真2)。

 ユーザー企業が実施すべき適正なレビュー時間のデータも興味深い。ドキュメントの作成にかかった総時間の20%以上でユーザー企業側の担当者がレビューに参加すると、システムの欠陥率は1%以下だった。逆にレビュー時間が10%未満だと欠陥率は5~6%へと跳ね上がる。細川氏は「レビュー1つとっても適正な時間がある。正しいデータに基づき、プロジェクトを推進すべき」と語った。