写真1●部下の気分をリアルタイムにイラストで可視化する「ゾンビ・レスキュー」の画面例
写真1●部下の気分をリアルタイムにイラストで可視化する「ゾンビ・レスキュー」の画面例
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写真2●リーダークラス向けの管理画面
写真2●リーダークラス向けの管理画面
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写真3●プロジェクトマネージャーなどが使う管理画面
写真3●プロジェクトマネージャーなどが使う管理画面
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 「もっと早く気がついていれば」「あいつのことは分かっているつもりだったのに」――。部下やチームメンバーの心情を把握し損ねたことで、システム開発プロジェクトが暗礁に乗り上げたり、メンバーなどが体調を崩して退職に追い込まれたりするケースは少なくない。

 システムインテグレーターのアルバスが、IT関連の展示会「ITpro EXPO 2013」で参考出品したソフト「ゾンビ・レスキュー」を使えば、部下の気分をリアルタイムに可視化できる。上手に活用すれば、失敗プロジェクトの発生防止に一役買いそうだ。

 ゾンビ・レスキューは、上司やリーダーなどの管理者用とエンドユーザー用の画面で構成されているWebアプリケーション。管理者用の画面には、そのチームに所属するメンバーの気分がイラストで表示される(写真1)。天使のイラスト(画面右上)が多ければメンバーの気分は上々、ゾンビのイラスト(左下)が目立つ場合は不満を抱えたメンバーが増えていることを意味する。各メンバーの気分は、メンバー自身がスマートフォンやPCなどを使って随時登録する。部下の気分の浮き沈みは、過去2週間の変化をグラフにして表示することも可能だ(写真2)。

 このシステムを上手に活用するポイントは、「リーダーと所属メンバー」といった小さなグループのみで利用しないこと。中規模以上のシステム開発プロジェクトの場合、複数のグループが同時並行で作業を進めるのが一般的だが、それら複数のグループ単位で本システムを活用すると効果を発揮する。

 百聞は一見にしかず。6つのグループで活用中の画面を見てほしい(写真3)。“天使”だらけのグループや“ゾンビ”しかいないグループが一目瞭然だ。この画面を活用するのは現場のリーダークラスではなく、プロジェクトを統括するマネージャーやCIOとなる。可視化しておけば、リーダークラスが集まる進捗会議で「多少遅れていますが大きな問題は起きていません。すぐに遅れを取り戻せます」といった、その場しのぎの取り繕いをすることが難しくなる。

 本ソフトは、システムインテグレータであるアルバス社内で起きた、メンバーとリーダー間のコミュニケーション不足を教訓に開発された。社内で活用したところ「上々の効果が得られたので、他の企業でもトライアルで使ってもらっている」(ITソリューション事業部の保坂英郎部長)。利用料金は1ユーザー当たり月額350~450円程度(予定)。2014年春のサービスインを目指している。