写真1●青森県CIOの佐々木郁夫副知事
写真1●青森県CIOの佐々木郁夫副知事
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写真2●データセンターの好適地とされる2地域
写真2●データセンターの好適地とされる2地域
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 東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2013」のオープンシアターで2013年10月9日、青森県CIO(最高情報責任者)の佐々木郁夫副知事が「青森県データセンター立地の優位性」と題する講演をし、同県がデータセンター建設に最適であるとアピールした(写真1)。

 佐々木副知事はまず、競争力のあるデータセンターを構築するためには、(1) リスク低減、(2) コスト削減、(3) 新技術導入、(4) サービス・運営体制強化、の4点が必要と語り、そのそれぞれにおいて青森県の優位性を説明した。

 リスク低減の面で大きいのは、青森県が東京と陸続きであることで、万一の事態が発生しても、データセンターに到達困難になる恐れが少ない。また、複数の高速交通が完備しているのも、利点として挙げた。青森・三沢の両空港から羽田までは約1時間15分、新幹線は東京・新青森間を2時間59分で結んでいる。

 自然災害も、地震はもちろん台風や落雷の被害も少ないという。「データセンターの立地についてのアセスメント調査を実施済みなのは、本州では当県だけです。2012年度に56項目で全県を調査してコストを試算しました」(佐々木副知事)。同調査により、データセンター建設の好適地が2箇所見つかった(写真2)。青森市中心街に近い「青森中核工業団地」はSE常駐型に最適、手厚い公的支援を受けられる「むつ小川原開発地区」はクラウド型に最適という。

 コスト削減には、年間平均気温10.4度という同県の冷涼な気候が役立つ。外気冷房や雪氷活用によって、データセンターの消費電力の約4割を占める空調費用を、大幅に削減できる。「豊富な雪を活用すれば、“雪を金に換える”データセンターを実現できます」(佐々木副知事)。

 新技術として、佐々木副知事は自然エネルギー活用を挙げた。同県には212基の風力発電機があり、発電量はすでに約33万キロワットに達している。「まさに日本一の風力発電地域と言えます。蓄電池を活用して電力を安定供給する仕組みや、直流高圧電流による効率的な電力供給を実現する仕組み作りにも取り組んでいます。2012年2月~2013年2月には、コンテナ型データセンターを使った風力発電、外気冷房、直流高圧電流の実証試験もしています」(佐々木副知事)。また、2015年11月発電開始を目指し、出力115メガワットという国内最大級のメガソーラーを建設中という。

 サービス・運営体制強化では、同県における積極的な人的ネットワーク形成活動を挙げた。その一つが2013年7月に同県が設立した「新時代ITビジネス研究会」である。同研究会では、首都圏データセンター事業者との交流会や、データセンター立地候補地視察会などの活動に積極的に取り組んでいる。2013年10月23日には3回目となる交流会、10月24日には視察会を実施する予定とのこと。佐々木副知事は、これらの会への参加者募集の言葉で講演を締めくくった。