写真1●「持ち運ぶ生活空間」のデモで、カーテン照明の色を自宅で好みに設定しているところ。スマートフォンを持ってホテルに移動すると、同じ色が再現される
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写真2●「スマホでまとめてヘルスケア」では、スマートフォンと周辺機器を接続すると、自動的に必要なアプリがダウンロードされる様子をデモしている
写真2●「スマホでまとめてヘルスケア」では、スマートフォンと周辺機器を接続すると、自動的に必要なアプリがダウンロードされる様子をデモしている
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写真3●「M2M Mobile Network Optimizer」の1つの手法で、接続管理に関する制御信号を抑制することにより、トラフィックが大幅に減少することを示すデモ
写真3●「M2M Mobile Network Optimizer」の1つの手法で、接続管理に関する制御信号を抑制することにより、トラフィックが大幅に減少することを示すデモ
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 東京ビッグサイトで開催中のITpro EXPO 2013で、KDDI研究所とNECは共同でM2M(マシンツーマシン)の活用に関連した技術展示を行っている。M2Mの新しい利用法を提案する「持ち運ぶ生活空間」「スマホでまとめてヘルスケア」の2つの研究と、M2M時代に対応したモバイルネットワークの仕組みを開発する「M2M Mobile Network Optimizer」だ。

 「持ち運ぶ生活空間」は、スマートフォンとクラウドを活用して、生活空間の照明や空調、テレビなどの家電の設定を“持ち運べる”ようにするデモ(写真1)。家庭で使っている照明の色や明るさ、空調の温度設定、テレビの音量やチャンネル、体組成計で測定したデータなどをクラウドに保存。出張先のホテルに到着すると自動的に自宅の設定をクラウドから呼び出して、同様の生活空間を再現する。スマートフォンをリモコンのように使いながら、設定情報をクラウドに保存して実現する。現時点では家電の制御にはネットワーク対応型の赤外線リモコンを使う。

 「スマホでまとめてヘルスケア」は、スマートフォンと周辺機器の連携を簡単にするためのデモである(写真2)。スマートフォンとBluetoothに代表される近距離無線通信方式を使って接続する体組成計や活動量計、心拍計などの周辺機器が増えている。利用にあたっては、機器を接続し、対応するスマートフォン用アプリをダウンロードするといった手間がかかっていた。デモでは、周辺機器とペアリングして、機器を認識した後にクラウドが対応するアプリを検出してダウンロードする、といった手順を自動的に完了できる様子を示していた。デモはヘルスケア機器で行ったが、ホームセキュリティやホームエネルギーマネジメントなど、スマートフォンを情報のハブにしてM2M環境を整える際に広く応用できると説明する。

 これらの2つの研究はKDDI研究所によるもの。ネットワーク分野の「M2M Mobile Network Optimizer」はNECによる研究だ。M2M Mobile Network Optimizerでは、M2M時代になって端末数が増えることで増加する位置管理信号などのシグナリングを、最適化して減少させる技術を紹介している(写真3)。端末の移動特性を分析しながら、シグナリングのトラフィックが増える短いコネクションの切断を防ぐ方法や、基地局からの呼び出し信号を最適化して絞り込む技術を開発した。こうした方法を組み合わせることで、シグナリングのトラフィックを現状の10分の1程度まで減らすことが目標だという。トラフィックの低減が可能になれば、通信事業者は低コストでM2Mに対応したモバイルネットワークを提供できる。

 これらは、総務省委託研究「『モノのインターネット』時代の通信規格の開発・実証」の成果として展示されている。