写真1●セタ・インターナショナルの説明員
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写真2●ルビナソフトウェアのル・クアン・ルオン代表取締役社長
写真2●ルビナソフトウェアのル・クアン・ルオン代表取締役社長
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 2013年10月9日から11日にかけて東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2013」の展示会では、昨年に続きベトナムパビリオンが設けられ、オフショア開発などを手掛けるISBベトナムなど7社が出展している。

 情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書2012」によれば、3割を超える日本企業がベトナムでのオフショア開発を検討しており中国やインドを抑えてトップ。日本企業からの注目度は高い。

 ベトナムパビリオンにブースを構えるISBベトナムは、120人の技術者を抱える。年間50件近く、およそ1300人月に上るプロジェクトをこなす。大橋政信第二事業本部マネージャーは、「中国を補完する存在として、引き合いが増えてきた。昨年から売上高ベースで約2割増えている」と、手応えを語る。同社は日本からの受託だけでなく、ベトナムを拠点としてASEAN全域にビジネスを拡大していきたい考えだ。

 セタ・インターナショナルは、現在130人の日本向け技術者を2014年にも200人規模まで増やす予定だという(写真1)。同社は日本向けだけでなく、欧米向けのビジネスも手掛けており、85人の技術者を抱えている。

 廣瀬倫理代表取締役社長は、「従来はスマホアプリが中心だったが、最近は.NETやJavaを使った基幹系システム関連の案件も増えてきた」と、変化を口にする。その一因として、企業における基幹系と連携させているノートPCをWindows 8タブレットに置き換える案件が出てきているからだという。「基幹系システムを手掛けているIT企業は、Windows 8の経験がない場合が多い。そこで当社がタブレットのアプリケーションなどを請け負う」(廣瀬社長)。そのほか、ブログのNGワード監視といったBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業も好調だという。

 スマホアプリやWebシステムを手掛けるリッケイソフト(Rikkeisoft)は、昨年から技術者の数を3倍の約50人に増やした。「30社以上の顧客がいる。その内の95%が継続案件だ」と、タ・ソン・トゥン代表取締役社長は明かす。2013年は従業員の日本語やセキュリティ関連の教育に専念し、2014年末には100人以上の体制に拡大するという。

 200人の開発体制を整えるルビナソフトウェアは、数百人月規模の大規模案件に強みを持つ。発電所の稼働制御などを担う「監視制御訓練システム」のように、「日本のインフラ設備を支えるシステム開発も手掛けている」と、東京工業大学出身のル・クアン・ルオン代表取締役社長は胸を張る(写真2)。

 同社は2011年、ハノイと日本のほかにベトナム中部の都市ダナンにも拠点を設立した。「将来、中部の優秀な人材はダナンに集まってくると予想しているからだ」(ル・クアン・ルオン社長)。ダナンは同国の新たなIT集積地として注目されており、ハノイやホーチミンに比べて、人件費も安価だ。

 2013年4月設立のニューウィンドソフトウェアは、iOSの開発を手掛けるベトナム企業出身のメンバー3人と、東京工業大学出身の3人とで創設した。6人は元々、高校時代からの友人関係だったという。「現在はベトナム、シンガポール、日本の案件がそれぞれ同規模だが、将来的には、8割を日本向けにしたい」と、ファム・ミン・フンCEO(最高経営責任者)は意気込みを語る。

 インディビジュアルシステムズの榎本諒平アカウントマネジャーは、「案件の増加に伴って、技術者を毎月のように増やしている状況だ」と好調さをアピールする。オフショアだけでなく、日本のベトナム現地法人向けのシステム構築案件が増えているという。今後は、日系企業が集積するタイを中心に、ASEAN全域にビジネスを拡大したい考えだ。

 ヴィーネクストは、アジャイル開発の代表的手法である「スクラム」を1年間かけて導入し、得意とするスマホアプリの開発といった全てのプロジェクトで適用している。今では1年半の実績があり、軌道に乗ってきたという。