2013年10月7日と8日に行われているベンチャー企業経営者向けのイベント「B Dash Camp 2013 Fall in Osaka」に、任天堂の岩田聡代表取締役社長が登壇した(写真1)。

写真1●任天堂の岩田聡社長(左)と一橋大学の佐山展生教授(右)
写真1●任天堂の岩田聡社長(左)と一橋大学の佐山展生教授(右)
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 岩田社長は冒頭、「任天堂は、皆さんの価値観からすると“古くて堅い会社”かもしれないが、歴史上は次々とチャレンジし続け、たくさんの失敗をし、時々小さな成功をして、その結果、家庭用ゲーム市場に出会って、プラットフォームビジネスとしてに世界市場に広げる幸運を得た会社だ」と、来場者と同じような立場にある会社だと語った。

 続いて、先日亡くなった前社長の山内溥氏の座右の銘「失意泰然、得意冷然」を紹介。「うまくいかなくても思い悩まない、絶頂でも浮かれない」というのが、任天堂の歴史そのものを体現している言葉だとした。山内前社長に教わったこととして「自分たちは知らないものを作るのだから、市場調査は無意味」、「とにかく違うものを作ること」、「重点を絞り込むこと」などを挙げた(写真2)。

 一緒に登壇した進行役の佐山展生氏(一橋大学教授)に、任天堂のグローバル戦略について問われた岩田社長は「特別な戦略はないが、強いて挙げるとすれば誰もやっていないことをすることと、現地の人の言うことを鵜呑みにしないことの2つだ」とした。

写真2●山内前社長から学んだことを紹介
写真2●山内前社長から学んだことを紹介
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写真3●海外の反応が悪かった「脳トレ」は欧州で売上を伸ばす
写真3●海外の反応が悪かった「脳トレ」は欧州で売上を伸ばす
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 後者については、ポケットモンスター(ポケモン)のエピソードが面白い。海外の拠点からは「かわいいねずみはモンスターではない」として、筋肉隆々のピカチュウのイラストを送ってきたのだという。また、「脳トレ」も海外での反応が良くなかったが、実際には日本より売れたという実績を紹介し、現地情報を鵜呑みにせず、個性を立てることの重要性を語った(写真3)。