日経パソコンは、パソコン関連7社のキーパーソンを招いたパネルディスカッションを企画、2013年10月4日、千葉市の幕張メッセで開催するIT・エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2013」において、スペシャルセッションとして開催した。国内のパソコン市場をリードする7社の代表者が一堂に会し、自社の取り組みについて語った。

 今年のテーマは、日経パソコン創刊30周年を記念し、「パーソナルコンピューティング30年――これから何を目指すのか」というもの。国内のパソコン市場をリードするインテル、NECパーソナルコンピュータ、ソニー、東芝、パナソニック、富士通、日本マイクロソフトの7社のキーパーソンが、過去30年の取り組みを振り返りつつ、未来のパソコンやコンピューティングについて語った。

日経パソコンはCEATECでパネルディスカッション「パーソナルコンピューティング30年――これから何を目指すのか」を開催。会場には多くの人が詰めかけた
日経パソコンはCEATECでパネルディスカッション「パーソナルコンピューティング30年――これから何を目指すのか」を開催。会場には多くの人が詰めかけた
[画像のクリックで拡大表示]

 インテル取締役副社長の宗像義恵氏は、過去の自社製CPUについて振り返り、「かつてパソコンのプロセッサーに使われていたトランジスターは2300個程度。それが今は30億個のトランジスターを搭載したチップが出ている」と、集積技術の進化を強調。2014年の後半には製造プロセス14nm(ナノメートル、1nmは10億分の1メートル)の製品を予定しているという。また、現在の「Atom」の5分の1のサイズで、10分の1の消費電力になる「Quark X1000」を紹介した。宗像氏は今後のパソコンについて、タブレットとパソコンの“いいとこ取り”をした製品がもっと増えると予測。その上で「企業での利用には、インテル・アーキテクチャーを採用したタブレットが最適。Atomなどを搭載したタブレットをもっと増やしたい」と語った。

インテル取締役副社長の宗像義恵氏
インテル取締役副社長の宗像義恵氏
[画像のクリックで拡大表示]

 NECパーソナルコンピュータ執行役員の小野寺忠司氏は、まず、1980年代に発売したラップトップコンピューターの原型ともいえる「PC-8401A」から同社のパソコンの歴史を振り返った。今後は、パソコンに加えてスマートフォンなどの機器を個人が使い分ける「PC+(プラス)」の時代になると予測。コンピューターに必要となるキーワードとして「ポータビリティー(携帯性)」「コネクティビティー(デバイス連携)」「パーソナライズ」の3つを挙げた。現在の取り組みとしては、軽量ノートパソコン「LaVie Z」の後継機を披露。これは未発表の出製品で、13型の高解像度IGZO液晶を搭載しながら、重さは799g以下になる予定だという。また、「パーソナライズ」を実現する例として、開発中の情報収集アプリ「My Time Line」を紹介した。

NECパーソナルコンピュータ執行役員の小野寺 忠司氏
NECパーソナルコンピュータ執行役員の小野寺 忠司氏
[画像のクリックで拡大表示]

 ソニーVAIO&Mobile事業本部副本部長の萩原崇氏は、「バイオノートPCG-505」を筆頭に、16年にわたるVAIOの歴史を振り返った。萩原氏は、モビリティーについては、現状ではスマートフォンやタブレットが上回っているとし、今後のパソコンが担う役割として「プロダクティビティー(生産性)」と「クリエイティビティー(創造性)」を掲げた。これからのVAIOの理念について「よく遊び、よく学び(働き)を支援する最高のパートナーでありたい」と語った。実際の取り組んでいる例として、「紙のように書ける」というペン入力をビデオで紹介した。

ソニーVAIO&Mobile事業本部副本部長の萩原崇氏
ソニーVAIO&Mobile事業本部副本部長の萩原崇氏
[画像のクリックで拡大表示]

 東芝デジタルプロダクツ&サービス社営業統括責任者の檜山太郎氏は、1985年発売のラップトップコンピューター「T1100」から始まる、東芝のノートパソコンの歴史を披露。東芝が考えるこれからのコンピューティングについて、「顧客の日常の課題をコンピューターで解決すること」だと語り、豊富な製品ラインアップをアピールした。ウエアラブル型や手書きコンピューターも含めて、課題を総合的に解決していくという。手書きの例として、Windows 8.1搭載タブレットを席上でデモした。8型液晶を搭載した未発表の製品である。表面のフィルムの材質や筆跡の遅れを減らす技術に取り組み、より紙の書き味に近いペン入力を実現したという。

東芝デジタルプロダクツ&サービス社営業統括責任者の檜山太郎氏
東芝デジタルプロダクツ&サービス社営業統括責任者の檜山太郎氏
[画像のクリックで拡大表示]

 パナソニックAVCネットワークス社ITプロダクツ事業部事業部長の原田秀昭氏は、「長時間駆動や、光学ドライブ搭載、頑丈設計など、お客様の要望を取り入れて強化してきた」と、過去17年間のLet's note/TOUGHBOOKでの取り組みを紹介。国内設計・国内生産にこだわっているからこそ、きめ細かい対応が可能だったという。その例として、今年から始めたWindows XPサポート終了に伴うデータ移行サービスを挙げた。パソコン開発では、今後も「軽量」「頑丈」「高性能」「長時間(駆動)」のコンセプトは維持していくと強調した。その上で、同社が今後手掛ける市場として、「企業で安心して使える、頑丈でインタフェースの豊富なタブレット」の開発を掲げた。

パナソニックAVCネットワークス社ITプロダクツ事業部事業部長の原田秀昭氏
パナソニックAVCネットワークス社ITプロダクツ事業部事業部長の原田秀昭氏
[画像のクリックで拡大表示]

 富士通ユビキタスビジネス戦略本部長代理 商品企画・プロモーション担当の松村孝宏氏は、これまでのコンピューターの歴史について、「パソコンは、高性能化と小型化が進み、スマートフォンやタブレットのようなスマートデバイスへと進化してきた」と総括。これからは、「コンピューターセントリック(コンピューター中心)」から「ヒューマンセントリック(人間中心)」になる必要があるという。「人がわざわざ指示を出したり、コンテンツを機器に移動したりしなくても、状況に応じて最も近くにある機器が人間をサポートすることを目指している」と説明した。それを実現する仕組みの一部として、同社のサービス「MyCloud」を解説した。

富士通ユビキタスビジネス戦略本部長代理 商品企画・プロモーション担当の松村孝宏氏
富士通ユビキタスビジネス戦略本部長代理 商品企画・プロモーション担当の松村孝宏氏
[画像のクリックで拡大表示]

 日本マイクロソフト執行役常務コンシューマー&パートナーグループ担当の香山春明氏は、「これまで、パートナーと協力して強固なWindowsのエコシステムを作り、パソコンを全ての職場、家庭、教室に広める努力をしてきた。現在、世界で数十億人がパソコンを使っており、日本でも3600万台のパソコンが使われている」と、同社の37年間の成果をアピールした。Windows 8については、「発売後半年で1億本を突破した。課題だったWindowsストアアプリも8カ月で10万本と充実してきた」と順調であることを説明。「10月18日に公開する、1000カ所の改良を加えたWindows 8.1は格段に使いやすくなっている。期待してほしい」とアピールした。

日本マイクロソフト執行役常務コンシューマー&パートナーグループ担当の香山春明氏
日本マイクロソフト執行役常務コンシューマー&パートナーグループ担当の香山春明氏
[画像のクリックで拡大表示]