写真1●ブロケードコミュニケーションズシステムズ、SDNビジネス開発本部、執行役員の尾方一成氏
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写真2●Brocade VDX 6740-Tの外観
写真2●Brocade VDX 6740-Tの外観
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 ブロケードコミュニケーションズシステムズは2013年10月4日、レイヤー2ファブリックを構成できる同社のエッジスイッチ「Brocade VDX」において、既存のVLANでは運営できない大規模マルチテナント環境を構築するための機能を追加すると発表した(写真1)。具体的には、2014年1月のソフトウエアアップデートにより、TRILLベースの仮想LAN機能「VCS Virtual Fablic」と、VXLANゲートウエイ機能「VCS Gateway for VMware NSX」を追加する。

 エッジスイッチに二つの新機能を追加して、VLANを拡張する。(1)VCS Virtual Fablicは、TRILLベースの仮想LAN機能である(TRILL Fine-Grained Labels)。レイヤー2ネットワークにおいて、既存のVLANを代替する。これにより、VLANの制限である4096(12ビット)個を超える仮想LANを運用できる。論理的には1677万個(24ビット)の仮想LANを運用可能だが、当初は8000個の仮想LANを運用できる。VLANとのマッピングが可能で、VLANの知識があれば容易に運用できる、としている。

 もう一つの(2)「VCS Gateway for VMware NSX」は、レイヤー3トンネルでVLANを拡張するVXLANのゲートウエイ機能である。レイヤー2のフレームをレイヤー3パケットでカプセル化し、VXLAN ID(24ビット)を付けて通信する。別途、VMware NSXなどの外部コントローラーが必要になるが、レイヤー3をまたいでレイヤー2のLANを拡張できるほか、VLANの制限を超える1677万個の仮想LANを運用できるようになる。

 VCS Virtual Fablicは、各種のクラウド運用ソフトや運用管理ソフトから制御できる。OpenStackからプラグインを介して制御できるようにするほか、すでにHTTPベースの管理手法であるNETCONFを使って管理できるようになっている。2014年夏からは、RESTful APIを用いて制御できるようにする。

新型ASIC搭載機で新機能が利用可能に

 VCS Virtual FablicとVCS Gateway for VMware NSXを2014年1月から利用可能なエッジスイッチは、2013年9月頭に出荷を開始した新機種「Brocade VDX 6740」および「Brocade VDX 6740-T」(写真2)以降に出荷する機種となる。同機種から搭載している新型ASIC(特定用途向けIC)によって、これらの機能が利用可能になる。

 Brocade VDX 6740とBrocade VDX 6740-Tは、ラック内のサーバー/ストレージを直接収容するToR(トップオブラック)用途のラックマウント型スイッチのハイエンド機種である。サーバー接続用に10Gビット/秒×48ポート(SFP+またはRJ-45)、アップリンク接続用に40Gビット/秒×4ポート(合計160Gビット/秒)を備える。購入時は全ポートの3分の1に当たる16ポート単位でスモールスタート可能。米国での価格は、1万5995ドルから。

仮想ルーター新版はマルチコアの有効利用で高速動作

 仮想アプライアンス型のルーター「Brocade Vyatta vRouter」(関連記事)も、現行版の「Vyatta 5400 vRouter」から新版の「Vyatta 5600 vRouter」へとバージョンアップし、2013年12月から出荷する。価格は出荷時に公開するが、現行版(Vyatta 5400 vRouter)の価格は、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)による参考価格で年額20万6400円。

 新版のVyatta 5600 vRouterでは、Intel CPUのマルチコアを有効利用することによって高速に動作するようにした。具体的には、ネットワークアプリケーション開発用のSDKである「Intel DPDK」(Data Plane Development Kit)を使って開発されており、パケットのフォワーディング機能とコントロール機能を分離して、それぞれ別個のコアで独立して動作させる。