写真●左から富士通の山口裕久次世代情報系ソリューション本部長、レスクの鈴木大介代表取締役社長、富士通の谷澤哲次世代情報系ソリューション本部テレマティクスサービス統括部エキスパート
写真●左から富士通の山口裕久次世代情報系ソリューション本部長、レスクの鈴木大介代表取締役社長、富士通の谷澤哲次世代情報系ソリューション本部テレマティクスサービス統括部エキスパート
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 富士通は2013年10月3日、持ち運び可能なバッテリーなどの開発、販売を手掛けるベンチャー企業「レスク」との協業を発表した(写真)。富士通が提供するクラウド基盤を活用して、バッテリーの充電状況や劣化の状態を個別に管理、分析する。電動バイクの走行可能距離やバッテリーの寿命を把握できるようにすることで、ユーザーの利便性向上につなげる考えだ。

 レスクはキャリーバック形式で持ち運びが可能なカセット型バッテリーと、それを最大4つ収容できる充電ステーションなどを開発している。同バッテリーは電動バイクに搭載でき、約20キロメートルの距離を往復できる。例えば宅配事業者が電動バイクを導入する際は、店舗に充電ステーションを設置して複数のバッテリーをあらかじめ充電しておけば、バッテリーを交換するだけでよいため、充電時間は不要になる。同社はBluetooth経由で、電池の残量をスマホに表示させるサービスも提供する。

 ただし課題もあった。走行する道によって電池の消費量は変わる上、バッテリーの劣化状態を把握することが難しく、電動バイクのユーザーは、充電切れの時期を正確に予測できなかったのだ。

 そこで、富士通のクラウドサービス「FUJITSU Intelligent Society Solution SPATIOWL」で、バッテリーを管理、分析する。位置情報の記録を蓄積して解析することで、どこまで走行することができるかを正確に割り出せるようにした。さらにバッテリーの劣化状態を把握するための独自のアルゴリズムを開発、適切な交換のタイミングを知ることが出来るようになった。従来は、ほとんど劣化していないバッテリーであっても定期的に新しいものに交換していた。

 両社は2015年にも、電動バイクと充電ステーションなどを宅配事業者向けに売り込み、2016年までに1万台の普及を目指す。バッテリーはレンタルで提供し、充電ステーションは無償で設置する。2020年までに、都市部を中心に数千台の充電ステーションを配置し、コンシューマー向けにも販売する。「東京オリンピックまでに、海外からの観光客が驚くほど、電動バイクを広く普及させたい」と、レスクの鈴木大介代表取締役社長は意気込みを語る。