写真1●NTTドコモが開発した次世帯移動通信「5G」のシミュレーター
写真1●NTTドコモが開発した次世帯移動通信「5G」のシミュレーター
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 今や国内の携帯電話事業者がすべてLTEサービスを開始し、日本は本格的な4G時代を迎えつつある。だが無線通信の進化はこの先も続く。LTEをさらに発展させた真の4GといえるLTE-Advanced(関連記事:NTTドコモの中村氏、LTE-Advancedや今後の標準化など3GPPの最新動向を紹介)の商用化が、2013年前半に韓国など一部の国でスタートしている。そして4Gの次の携帯電話システムである「5G」についても、2020年ころの商用化を念頭に、ここに来て世界で研究開発が活発化している。

 NTTドコモは2013年10月1日から幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催中のITエレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2013」で、ドコモが考える次世代移動通信「5G」の世界をシュミレート(写真1)。「現行のLTEと比べて1000倍以上の容量が拡大が可能になる」(NTTドコモ)という結果を披露している。

20GHz帯の帯域と、アンテナ100本以上のMassive MIMO技術を利用

 モバイルトラフィックは2010年から2015年の5年間で24倍に、2020年には1000倍にも膨れ上がるといわれている。ドコモは5Gとして、爆発的に膨れ上がるトラフィックを収容できるLTEやLTE-Advancedをさらに高速、大容量化した無線システムを想定している。

 ドコモではこのような要件を持つ5Gシステムを実現するために、新たに3つのアプローチを取った。具体的には、(1)広帯域化の実現のために20GHz帯などより高い周波数帯を利用、(2)高い周波数帯をスモールセルに局所的に利用、(3)スモールセルにおいて伝送品質を向上するためにMassive MIMO技術を採用――である。無線アクセス方式自体は、LTEやLTE-Advancedで用いているOFDMAをそのまま使う。その意味ではドコモが考える5Gは、現行システムの延長上にあるといえる。