米政府の監視活動について、米国家安全保障局(NSA)が膨大なデータ収集によって米国住民のソーシャルなつながりをグラフ化して追跡していたことが分かったと、米New York Timesが現地時間2013年9月28日に報じた。

 New York Timesによると、NSAは2010年11月より、一部米国在住者の電話および電子メール記録を追跡し、その同僚や仲間、特定の時間に居た場所、旅行の同伴者などを突きとめることのできるグラフを構築していた。入手した大量の通信データに、保険契約情報、「Facebook」のプロフィール、乗客名簿、投票者登録、GPS情報など、さまざまな資料や情報を組み合わせて分析したという。元米中央情報局(CIA)職員のEdward Snowden氏から入手した書類によって明らかになったと伝えている。

 こうした分析は以前は外国人に対してのみ実施が可能だったが、米国在住者と外国諜報機関との関係を探るためとして2010年に規制が撤廃され、NSAは対象者が外国人かどうか確認することなく、大量の通信メタデータから広範な分析を行う権限を得た。

 NSA広報担当者はNew York Timesの取材に対して、「NSAの活動はすべて、外国の諜報機関に関する調査を目的にしており、テロ対策やサイバーセキュリティ対策のためのものだ」とコメントした。

 対象となった米国住民の数や、データ分析の結果どのような影響を受けたかについては、Snowden氏の書類からは判明していない。

 NSAによる監視活動がいっそう明るみに出る中、プライバシー侵害を懸念する声がますます高まっている。米上院情報委員会のメンバーは先週、政府の電気通信傍受活動に対する規制強化に取り組むと述べた(英Reutersの報道)。