写真1●r10004の外観
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写真2●r10004のラインカードが搭載するシリコンフォトニクス技術を利用したチップ(中央部がレーザー発行/受光部)
写真2●r10004のラインカードが搭載するシリコンフォトニクス技術を利用したチップ(中央部がレーザー発行/受光部)
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写真3●r10004について説明する、イスラエルのCompass Electro-Optical Systems、マーケティング担当バイスプレジデントのAsaf Somekh(アサフ・ソメク)氏
写真3●r10004について説明する、イスラエルのCompass Electro-Optical Systems、マーケティング担当バイスプレジデントのAsaf Somekh(アサフ・ソメク)氏
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 ネットワンシステムズは2013年9月27日、ラインカード同士を光ファイバーで直結するシンプルな構成によって省電力化と省スペース化を図ったハイエンド級のルーター機器「r10004」(写真1)を発表、同日販売を開始した。要素技術としてシリコンフォトニクス技術を採用した。他社製品(3社4モデル)と比較して5年間のTCOを4分の1から3分の1に削減できるとしている。開発会社は、イスラエルのCompass Electro-Optical Systems。

 r10004は、ハイエンド級のルーター機器である。最大の特徴は、ラインカード間の通信をシンプルにして省電力と省スペース化を図ったこと。一般的なルーターが備えるミッドプレーンやスイッチングファブリックなどの設備を持たず、ラインカード間を光ファイバーでフルメッシュ構成で直結しただけの構成を取る。これにより、6Uサイズのシャーシ型きょう体1台(ラインカード4枚)で800Gビット/秒の帯域を実現する。消費電力は平均で3.0kW。

 ラインカード間を光ファイバーで直結できる技術的根拠は、シリコンフォトニクス技術を採用したこと。通信処理を行う半導体チップに、光通信部を合体させている(写真2)。1個のチップ上に、レーザー光の発行部と受光部(それぞれ、12×14の格子上に配置した168本のレーザー光を同時に扱える)が設けられており、チップ同士の通信速度は8Gビット/秒×168本で1.34Tビット/秒になる。

 シリコンフォトニクスの特徴は、光通信であるため、電気信号と比べて距離による減衰などの影響が小さいこと。電気信号の場合、モジュール間通信を高速化していくと、アンプなどを介さずに直接通信できる距離は数センチメートル程度に過ぎない。このため、ラインカード間の通信機構として、別途、ミッドプレーンやファブリックなどが必要になってしまう。これに対して光通信では、光ファイバーを数百メートル伸ばしても問題なく利用できる。同社による検証では実際に200メートル離して検証したとしている。

 製品発表会では、r10004の導入事例をいくつか紹介した(写真3)。例えば、北米の通信事業者のケースでは、以前は3ラック(42U×3)分の容積を占めていた米Cisco Systemsのルーター機器を、1台(6U)のr10004に置き換えた。こうして、余ったスペース(120U)をサーバー機に割り当てたという。一方、国内企業の事例では、NTTコミュニケーションズが利用しているという。

 製品の価格は未定だが、部品点数の減少などにより、他社の同クラスのルーター機器と比べて3分の1から2分の1の価格になるという。当初用意するラインカードは2種類(100Gビット/秒×2個、または10Gビット/秒×20個)で、今後ラインカードの種類を増やす。今後はまた、シリコンフォトニクスのチップを向上させ、レーザー光1本当たりの帯域を現行の8Gビット/秒から増やすほか、レーザー光の本数を現行の168本から増やす予定。