日立製作所は2013年9月25日、空港など公共施設の安全強化を目的として、手荷物に付着した爆発物成分を自動で検査できる爆発物探知技術を開発したと発表した。この技術により、手荷物の爆発物成分の検査が最短5秒程度で実施できるという。

 現在、空港では、全ての荷物に対するX線検査で危険物の有無をチェックしているほか、係員が専用布で荷物表面から拭き取った付着物を分析することで手荷物に付着した爆発物成分を検査している。この拭き取り検査を自動化し、X線検知装置と爆発物探知装置を併設することにより、全ての荷物に対して危険物や爆発物の検査ができるという。

 日立は、これまで爆発物成分を高感度かつ短時間で特定する質量分析技術を開発してきた。今回開発した技術は、この質量分析技術を用い、手荷物がベルトコンベアで移動する間に付着した爆発物成分を自動的に分析する。

 具体的には、ベルトコンベアで移動する大きさの異なる手荷物に空気を吹き付け、表面から爆発物成分の微粒子を剥離して回収する。空気流を発生させるタイミングや当て方、速度を最適化することで、爆発物成分の微粒子の剥離と回収を効率的に実行するという。

 採取した微粒子を効率よく濃縮するために、サイクロン方式の遠心分離濃縮技術も開発した。これにより、大量の空気流を用いて手荷物に付着した微粒子を短時間で濃縮し、高感度に検出できるとしている。