NTTデータは、大手ユーザー企業とITベンチャー企業などが協力するオープンイノベーションの形で、新たなビジネスの創出を目指すプロジェクトに着手する。2013年9月25日に、NTTデータの新規事業部隊やベンチャー企業、ユーザー企業などが参加するフォーラム「豊洲の港から」を設立する。新規ビジネス育成のための土壌をつくることで、最終的には個別のビジネス案件の立ち上げを目指す。

 このフォーラムは、一般財団法人オープンイノベーション促進協議会の公認フォーラムと位置付ける。同協議会は既に、オープンイノベーションの普及を目的にした異業種交流フォーラム「ローマの市場にて」を運営している。「豊洲の港から」は同協議会の法人正会員であるNTTデータがその兄弟フォーラムとして立ち上げ、ITを活用したビジネスの領域でのオープンイノベーションの実現を目指す。

 プロジェクトには、NTTグループの事業にシナジーのあるベンチャー企業に投資しているNTTドコモ・ベンチャーズや、ベンチャー企業と大手・中堅企業とのビジネスマッチングを手掛けるネクスゲートなども参画し、技術力や独自のビジネスモデルを持つベンチャー企業のフォーラムへの参加を促す。フォーラムの世話人には、NTTデータの初代フェローで現・名古屋大学教授の山本修一郎氏が就任する。

 フォーラムは当面、月1回のペースで開催し、9月25日の第1回では「O2O」をテーマにアイリッジやイーフロー、アドバンスト・メディア、ヒトクセといったベンチャー企業が自社の技術やソリューションを披露する。小売り・流通の大手企業も参加する予定で、懇親会などの場でベンチャー企業と交流し、そうした技術を活用したビジネスの可能性を探る。

 フォーラムは今後、「ビッグデータ分析」「ソーシャルマーケティング」「決済サービス」「オープンデータ」などをテーマに開催する予定。NTTデータとしては、フォーラムでの交流や意見交換などをきっかけに、同社のクラウドなどのインフラサービスとベンチャー企業の技術を活用して、ユーザー企業が自社の顧客向けに新サービスを立ち上げる、といったビジネス創出につなげたい考えだ。

 NTTデータがこうした取り組みに着手したのには、自社やユーザー企業のビジネスのイノベーションにとって外部の技術やアイデア、ビジネスモデルを活用することが不可欠との判断がある。特に斬新な発想力を持つベンチャー企業と協業することで、新たなビジネスをスピーディーに立ち上げることを目指す。ベンチャー企業にとっても自らのビジネスを拡大する機会となるため、それぞれにメリットがある“Win-Win-Win”の関係を構築できるとみる。