ゲーム市場が急成長しているのは、中国、韓国ばかりではない。東南アジア諸国もまた、侮れない市場となっているのだ。今年で4回目となった「アジア・ビジネス・ゲーム・サミット」は、「勃興するアジア圏マーケット、その全貌を探る」と題して過去最多の6人をパネリストに迎え、日経BP社の浅見直樹取締役をモデレーターに90分にわたるパネルディスカッションを展開した。

 各パネリストを紹介しておこう。ディエン・ウォン氏は、インドネシアの大手ゲーム開発企業アルタミスのCEO。マレーシア出身のガネサン・ベラヤサン氏は、スマートフォン向けのモバイルゲームと自社アドプラットフォームの開発を手がけるファン&クールベンチャーズのCEOだ。タイのIT業界とゲーム業界を中心に複数の企業の役員を務めているのはチャンビット・ビタヤサムリット氏。韓国からは日本でも知名度の高いNHNエンターテインメントの取締役チョン・ウジン氏、台湾からは大手ゲーム開発メーカーであるXPECエンタテインメントの会長・許金龍(アーロン・シュウ)氏が参加した。日本を代表するパネリストは鵜之澤伸氏。おなじみコンピュータエンターテインメント協会の会長だ。

 今回は、各パネリストが自社の紹介を済ませた後、各国のゲーム産業について紹介した。日本の2倍の人口を抱え、まだまだ市場開拓の余地を残すインドネシア、中国製スマートフォン用アプリが人気上位を占めるマレーシア、PCMMO(パソコンで遊ぶソーシャルゲームの人気が高いタイなど、各国の特徴はあるが、共通している点もある。それは、どの国もスマートフォンが急速に普及しつつあり、それに歩調を合わせてゲーム業界も変化しているということだ。彼らのコメントを受けた鵜之澤氏は「旧来のアーケードゲームやコンソール(専用ゲーム機)、パソコンの存在に加え、フィーチャーフォンからスマートフォンに移行するユーザーニーズもあり、開発する側も優先順位を付けにくいところだろう」とまとめていた。

 また、「自社、自国のゲームを世界に発信していく場合、どの国、地域をターゲット」にするかという質問には、5人のパネリストがアジアと回答。中国の市場規模は大きいが規制もあり、まだ進出するべきではないという意見や、日本の文化は独特なのでローカライズが難しいといった意見も出るなど、興味深いディスカッションとなった。

ディエン・ウォン氏
ディエン・ウォン氏
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ガネサン・ベラヤサン氏
ガネサン・ベラヤサン氏
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チャンビット・ビタヤサムリット氏
チャンビット・ビタヤサムリット氏
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チョン・ウジン氏
チョン・ウジン氏
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許金龍(アーロン・シュウ)氏
許金龍(アーロン・シュウ)氏
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鵜之澤伸氏
鵜之澤伸氏
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(写真/菊池くらげ)