NEC、NTT持ち株会社、NTTコミュニケーションズ、富士通、日立製作所は2013年9月17日、広域ネットワーク向けのSDNに関する研究開発プロジェクト「Open Innovation over Network Platform」(O3プロジェクト)を立ち上げたと発表した。通信事業者などの広域ネットワークに適用するためのSDN関連ソフトウエアの開発や、参加企業の装置のSDN対応などを推進する。

 研究成果は、参加企業の製品やソリューションに展開するほか、ソフトウエアの一部をオープンソースとして公開する予定だ。本プロジェクトは2016年3月までの予定で、2014年3月をめどに、一部成果の発表を目指している。

 SDNは、ソフトウエアを活用することでネットワークを従来よりも柔軟に、高度に自動化した形で制御しようというコンセプトの総称。現在はデータセンターを中心に一部の企業で導入されつつある。O3プロジェクトではSDNを用いて、現在の広域ネットワークの課題を解決し、運用の簡易化やコスト削減を実現できるような技術を研究・開発する。

広域ネットワークの3種類の課題を解決

 O3プロジェクトが整理した、現在の広域ネットワークの課題は主に3つ。(1)光、無線などネットワークを種類ごとに別々の管理体系で制御している。そのため、通信事業者やその顧客のビジネス要件に合わせて複数の種類のネットワークを連携させようとすると時間がかかる、(2)同じネットワークサービス内でも、物理網、IP網、オーバーレイネットワークなど、レイヤー(階層)ごとに障害監視をしているため、障害発生時の原因切り分けに時間がかかる、(3)レイヤーごとにネットワーク資源を最適化しているため、トータルコストの最適化が困難---といった課題だ。

 これらの課題を、図1のようなソフトウエア、ハードウエアの研究開発によって解決することを目指す。

図1●O3プロジェクトの研究課題と、開発するソフトウエアの全体像
図1●O3プロジェクトの研究課題と、開発するソフトウエアの全体像
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 まず「ネットワーク管理制御プラットフォーム技術」は、SDNのシステムの中核となる制御用のソフトウエア(SDNコントローラー)だ。複数の種類、複数のレイヤーのネットワークから、ハードウエア/ソフトウエアの状態、通信状況、トポロジーなど幅広い情報を収集し、抽象化する役割を果たす。情報の抽象化によって、管理者からはネットワークの種類やレイヤーの違いを意識せず、統一したインタフェースで構築や管理ができるようにする。