写真●工場を改装する「NEC神奈川データセンター」の完成イメージ
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 NECは2013年9月12日、オープンソースソフトウエア(OSS)のクラウドOS「OpenStack」を採用したセルフサービス方式のIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)「NEC Cloud IaaS」を発表した。2014年4月にサービスを開始する。NECは同サービスのための施設、「NEC神奈川データセンター(DC)」を2014年1月に開設する(写真)。神奈川DCは延べ床面積2万平方メートル、最大3000ラックで、NECにとって最大規模のDCになる。投資金額は300億円で、2017年度に1200億円の売上高を目指す。

 NECはこれまで、顧客自身が仮想マシンの起動などをできるセルフサービス方式のIaaSを提供していなかった。今回新たにOpenStackを採用し、セルフサービスポータルや、仮想マシンなどの運用管理を自動化できる管理用API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を備えたIaaSを開発した。OpenStackベースのIaaSは「NEC Cloud IaaS(スタンダード:STD)」と呼ぶ。

 NEC Cloud IaaS STDは、同サービス専用に開発した高密度PCサーバーを神奈川DCに設置して提供する。神奈川DCは、工場だった建物に耐震関連の補強を加えたものである。自社が所有する投資額を抑えたDCと、自社開発の専用サーバー、OSSなどを活用することによって、コストを抑えた低価格のサービスを提供する。仮想マシンは、月額課金または時間ベースの従量課金で、仮想サーバー1台あたりの月額料金は6700円からである。

 仮想マシン以外の付帯サービスとしては、外付けディスクである「ブロックストレージ」や、NECが開発したSDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング)技術を使用した仮想ネットワークサービス、システムの負荷に応じて仮想マシンの台数を増減するオートスケール機能などを提供する。2014年下期以降には、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)などを追加するほか、神奈川DC以外からのサービス提供なども行う。

 従来のセルフサービス方式ではなかったIaaS「RIACUBE」「RIACUBE-V」については、後継サービスとして2014年4月から「NEC Cloud IaaS(ハイアベイラビリティ:HA)」を提供し、こちらにもセルフサービスポータルや管理用APIを追加する。NEC Cloud IaaS HAは、従来同様にNECの商用ツール「WebSAM」で構築している。料金はOpenStackベースのNEC Cloud IaaS STDよりも割高だが、仮想マシンの稼働率に関するSLA(サービス・レベル・アグリーメント)を高めるなどの追加サービスを提供する。

 神奈川DCは、延べ床面積は2万平方メートルで、サーバー室面積は1万平方メートル。ラック数は3000で、最大70万台の仮想マシンを運用可能だという。パブリッククラウドのIaaSの提供以外に、ハウジングやコロケーションなどのサービスも提供する。

■変更履歴
第5段落で『「RIACUBE」「RIACUBE-V」も2014年4月の時点で「NEC Cloud IaaS(ハイアベイラビリティ:HA)」と改称し』としていましたが、改称ではなく後継サービスとして「NEC Cloud IaaS(ハイアベイラビリティ:HA)」を提供するため文章を改めました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2013/09/18 17:40]