2015年のミャンマー証券取引所創設プロジェクトに参画している大和総研。デジタル化が進んでおらず、通信網も整備されていないミャンマーでのビジネスについて、多くの日本企業が「進出はまだ早い」と見る中、同社は「インフラやルールが整ってからではビジネスとしての面白味がない」と考えている。また、欧米や中国、韓国などの企業はすでにミャンマーを新たな市場としてとらえ、そこでビジネスを発展させるために国家レベルで取り組んでいるという。

 2013年9月11日から30日までネット上で開催されているバーチャルイベント「ITmedia Virtual EXPO 2013」にて、大和総研 専務取締役の鈴木孝一氏が、ミャンマーでのプロジェクトを通じて学んだグローバルで戦うための戦略を語った(こちらのサイトから視聴可能)。

 鈴木氏は、日本企業が新興市場において欧米などの企業と対等に戦うためには、「包括的なソリューションを提供する必要がある」と語る。例えば今回大和総研が取り組んでいるミャンマーの案件では、「われわれが証券会社や銀行に代わって要件を定義し、システム全体をオールインワンで提供することを考えている」という。要件定義まで手がける理由は、ミャンマーにはITを使った取引所システムが存在せず、紙ベースでビジネスが行われているため、システムのイメージがわきにくいためだ。

 また、日本では評判のいい高機能なシステムについても、「日本で評判が良くても日本以外では使えないこともある」と鈴木氏。高機能なシステムはトレーニングも難しいため、IT人材の少ないミャンマーでは使う頻度も考慮して導入を検討すべきだとする。日本では顧客の要望にできるだけ応えようとするシステム構築が主流だが、「オーダーメイドもやりすぎると価値はない」と鈴木氏は忠告する。

 また鈴木氏は、ビジネスのグローバル化には単純明快なシステムが欠かせないと話す。日本とは異なり、海外ではさまざまな国の人が働いているため、誰にでも簡単に使えるものでなくてはならないというのだ。

 海外でのシステム構築にあたって使いやすさを考慮することで、「日本のシステム作りを見直すきっかけにもなる」と鈴木氏。この方法が軌道に乗れば、ミャンマー事業でのベストプラクティスを日本に逆輸入することも考えているという。