米Wall Street Journalは現地時間2013年9月6日、米Appleが中国最大の携帯電話会社China Mobile(中国移動)に新型iPhoneの廉価モデルを出荷すると伝えた。すでに組み立て業務を手がける台湾・鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry)傘下の中国・富士康科技(Foxconn Technology)に、廉価モデルの出荷リストにChina Mobileを加えるよう指示しているという。

 China Mobileの加入者数は約7億人で、米国最大手であるVerizon Wirelessの7倍の規模。だがAppleはまだChina Mobileと提携しておらず、China MobileはiPhoneを取り扱っていない。一方中国では今年、米国の2倍以上となる3億5200万台のスマートフォンが出荷されると見込まれている。AppleはChina Mobileとの提携により、急成長する同国スマートフォン市場で巻き返しを図るとWall Street Journalは伝えている。

 Appleは、米カリフォルニア州クパチーノの本社で現地時間9月10日にイベントを開き、iPhone 5の後継モデルと、複数の本体カラーを用意する廉価モデルを発表すると見られている(関連記事:「iPhone 5S」と「iPhone 5C」お目見えか、Appleが9月10日のイベント招待状を送付)。

 Wall Street Journalによると、Appleは当初、China Mobileの独自通信方式がデータダウンロード速度の低下や、端末製造コストの上昇につながると考え、China Mobileへの供給に積極的ではなかった。一方China MobileはAppleの求める厳しい販売ノルマに不満を覚えていたという。しかし、中国におけるAppleの売上高は低下している。China Mobileも、すでにiPhoneを扱っている同国第2位のChina Unicom(中国聯通)と第3位のChina Telecom(中国電信)から顧客を奪われている。今のAppleとChina Mobileは、それぞれが互いを必要としていると同紙は伝えている。

 なお同紙よると、両社間の正式契約については明らかになっていない。端末の納入時期についても詳細は分からないという。