写真●Zend Server 6.1の画面
写真●Zend Server 6.1の画面
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 イグアス・ゼンドは2013年9月5日、PHP言語を使ったWebアプリケーション実行環境の新版「Zend Server 6.1」(写真)を発表した。9月13日から出荷する。新版では、下位エディションと上位エディションを追加した全3エディション構成とすることで対象ユーザー層を拡大した。

 Zend Serverは、商用のPHPサーバーソフト(PHP実行環境)である。前提となるPHPとは、Webアプリケーション開発用の簡易スクリプト言語。データベースアクセスをともなうWeb連携アプリケーションを、HTML(画面)にスクリプトを埋め込むかたちで簡単に開発できる。

 ほかのPHP実行環境と比べたZend Serverの特徴は、商用製品としてサポートを受けられることや、機能/性能を高めたこと。例えば、本来はインタープリターで動作するPHPスクリプトをコンパイル/キャッシュすることで実行速度を高めた。また、画面遷移用のMVCフレームワークを標準で装備するなど、システム構築に必要なソフトウエアの設定を容易としている。

 今回の新版では、エディション構成を拡大した。商用版は従来「Enterprise Edition」一つだけだったが、これを(1)「Small Business Edition」(機能を簡略化した下位エディション)、(2)「Professional Edition」(従来のEnterprise Editionの機能で構成する標準エディション)、(3)「Enterprise Edition」(新たな上位機能を追加したエディション)の全3エディションに増やした。

 新版ではまた、稼働状況の監視機能を強化した。Web監視コンソールのGUIを強化し、稼働状況や性能のデータをグラフで表現できるようにした(従来版は数値をテキストで表示するだけだった)。さらに、稼働状況や性能データを可視化する単位を、従来版のサーバー単位から新版ではWebアプリケーション単位へと細かくした。

LDAPと変更管理を新規に追加

 エディションごとの機能の違いは、以下の通り。

 下位エディションのSmall Businessでは、標準版のProfessionalと比較して、複数サーバーをクラスタリング構成で利用できない。また、PHPスクリプトのジョブキュー機能を利用できない。

 上位エディションのEnterpriseでは、標準版のProfessionalと比較して、ユーザー権限を管理するLDAPサーバー機能と、アプリケーションの変更管理機能(誰がいつ変更したのかを把握/管理できる機能)を追加した。この二つの機能は、今回の新版で初めて利用できるようになった機能である。

 稼働OSは、Windows、Linux、IBM iの3種類で、それぞれの各エディションの価格(税別)は以下の通り。

 Windows版とLinux版は、Small Businessが30万円、Professionalが60万円、Enterpriseが100万円。これに対して、従来版のEnterprise(新版のProfessional相当)は、55万円だった。

 IBM i版の価格はサーバー機によって価格が異なり、Small Businessは存在せず、Professionalが57万4000円から、Enterpriseが197万4000円から。これに対して、従来版は、87万4000円だった。