CoNETSに参加する、教科書会社12社と日立ソリューションズの代表者
CoNETSに参加する、教科書会社12社と日立ソリューションズの代表者
[画像のクリックで拡大表示]
開発中の閲覧ソフト上を使って、国語のデジタル教科書を開いたところ。線を引いたり、コメントを書き込んだりできる
開発中の閲覧ソフト上を使って、国語のデジタル教科書を開いたところ。線を引いたり、コメントを書き込んだりできる
[画像のクリックで拡大表示]
閲覧ソフトの起動画面のイメージ。自分が使うデジタル教科書がズラリと並ぶ
閲覧ソフトの起動画面のイメージ。自分が使うデジタル教科書がズラリと並ぶ
[画像のクリックで拡大表示]
各OS向けに閲覧ソフトを開発。どの教科書会社の教科書も、この閲覧ソフト上で見られるようにする。配信システムも併せて用意する
各OS向けに閲覧ソフトを開発。どの教科書会社の教科書も、この閲覧ソフト上で見られるようにする。配信システムも併せて用意する
[画像のクリックで拡大表示]
CoNETSは、「Connecting to the Next Education for Teachers and Students」の略という
CoNETSは、「Connecting to the Next Education for Teachers and Students」の略という
[画像のクリックで拡大表示]

 教科書会社12社と日立ソリューションズは2013年9月5日、デジタル教科書に関するコンソーシアム「CoNETS(コネッツ)」を発足した。デジタル教科書を配信・運用するためのシステム基盤(プラットフォーム)を構築。デジタル教科書の操作性の統一、複数OSへの対応などを目指す。具体的には、デジタル教科書用の共通の閲覧ソフトなどを共同で開発する。各教科書会社が、この閲覧ソフトに対応したデジタル教科書を制作。2015年4月から、順次リリースする。

 CoNETSに参加する教科書会社は、大日本図書、実教出版、開隆堂出版、三省堂、教育芸術社、光村図書出版、帝国書院、大修館書店、新興出版社啓林館、山川出版社、数研出版、日本文教出版。ソフトウエアやシステムの開発を、日立ソリューションズが手掛ける。CoNETSの代表は、光村図書出版の常田寛社長が務める。

 電子黒板などの普及により、教育現場では教員用のデジタル教科書の活用が進んでいる。文部科学省の調査によれば、2012年3月時点で22.6%の学校が何らかのデジタル教科書を導入している。ただ現状では、教科書会社によってユーザーインタフェースが異なる。教科ごとに使い勝手が変わり、操作に戸惑うといった声が教育現場から寄せられているという。また教科書会社にとっては、WindowsやiOSなど複数のOSに対応するための開発の負荷が大きいという課題もあった。

 一方で、現在、児童・生徒用のデジタル教科書が実証実験の段階にある。これが今後、教育現場に本格導入されるようになれば、こうした課題はさらに大きな問題になることが予想される。そこで、教科書会社が集まって発足したのがCoNETSだ。「教育現場からのさまざまな要望に応えるには、1社では難しい。考え方を同じくする12社が参集して、CoNETSを立ち上げた」(常田氏)。

 CoNETSで共通の閲覧ソフトを用意することで、学校や学年、教科を問わず、デジタル教科書を同じ使い勝手で利用できるようにする。閲覧ソフトはWindows 7/8およびiOSに対応するため、教科書会社にとっては開発の手間も下がる。今後の市場動向に応じて、Androidなどへの対応も検討するという。

 ファイル形式としては、EPUB 3を採用する。このため、一般の電子書籍も読めるようになる。さらに、デジタル教科書ならではの機能を実現するため、独自の拡張も加えるという。デジタル教科書に書き込んだ内容を教員に送信したり、児童・生徒が共有したりする機能も用意する予定だ。

 閲覧ソフトと併せて、インターネット上に配信システムも用意する。最新の閲覧ソフトや各社のデジタル教科書を保持しておき、更新があれば、教員や児童・生徒がダウンロードして利用できるようにする。将来的には、個人の学習履歴などを管理し、学校での学習内容を自宅で見られるようにするといったことも予定しているという。

 2015年春の小学校向け教科書の改訂に合わせて、このシステムに準拠した小学校向けデジタル教科書が登場する予定。2016年に中学校、2017年に高等学校向けの商品を発売する。教員用、児童・生徒用の両方の商品が登場する見込みだ。具体的なラインアップについては現在各社で検討中で、2014年秋以降に発表されるという。

 今後は、他の教科書会社にもこのシステムの採用を呼びかける。より多くのデジタル教科書を、共通プラットフォーム上で配信・運用することを目指すという。