データセンター事業者のKVHは2013年8月29日、ブロックストレージ(iSCSI)を時間課金型のクラウドサービスの形態で提供するサービス「Virtual Private Storage Array」(VPSA)を発表した。9月17日から販売/提供開始する。ドライブの種類やRAID構成、容量、CPU処理能力、アクセス方法(ブロック/ファイル)など、ストレージシステムのスペックを自由に選んで契約できる。
ストレージの設置場所は、KVHのデータセンター(東京都)である。サーバーとの接続方法は、iSCSI(ブロックアクセス)またはNFS(ファイルアクセス)。KVHのデータセンターを利用しているユーザーや、KVHのデータセンターに専用線で接続しているユーザーなど、KVHのデータセンターにTCP/IPでアクセス可能なユーザーが利用できる。
KVHのデータセンターは、米Amazon Web Services(AWS)の東京リージョンとの間で、専用線で接続されている(AWS Direct Connectを利用)。このためKVHでは、AWS東京リージョンにあるサーバー(Amazon EC2)からVPSAを利用することを想定している。
米Zadara StorageのストレージサービスをKVHが国内販売
なお、VPSAを実現するソフトウエア機能(ストレージをクラウドサービス化する機能)は、米Zadara Storageが開発したもの。VPSAというサービス名称も米Zadara Storageのもので、同社はKVHなどのデータセンター事業者を介してVPSAのサービスを提供している。
KVHのデータセンターを利用した国内のVPSAサービスの場合、ユーザーから見たVPSAの販売窓口(サービスの契約窓口)はKVHになる。ユーザーは意識する必要はないが、バックヤードでは米Zadara StorageがVPSAのソフトウエア機能とストレージ資源をKVHのデータセンターに持ち込んで設置した形となっている。
米Zadara Storageから見て、VPSAを日本国内のデータセンターで提供するのは、今回のKVHが初めてである。海外では、米Amazon Web Services、米Equinix、英Dimension Dataの三社がVPSAを提供している。
SSDからニアラインまで任意の構成を時間課金で利用
KVHが販売するVPSAの利用料金(税別)は1時間当たり103円からで、サンプル構成における価格例は以下の通り。
(1)性能を追求した容量500Gバイトのサンプル構成(SSDをRAID 1構成)は、1時間当たり161円(月額11万7713円で、Gバイト当たり月額147円)。
(2)性能と容量のバランスをとった容量2.4Tバイトのサンプル構成(600Gバイトの高速ドライブをRAID 5構成)は、1時間当たり260円(月額18万9800円で、Gバイト当たり月額63円)。
(3)容量重視の容量50Tバイトのサンプル構成(3Tバイトの低速ドライブをRAID 1構成)は、1時間当たり1059円(月額77万2888円で、Gバイト当たり月額7円)。