開発端末の内部構成
開発端末の内部構成
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 独立行政法人の情報通信研究機構(NICT)は2013年8月27日、テレビ放送帯で通信可能なタブレット端末を開発したと発表した。

 開発した端末は、NICTが開発したホワイトスペースデータベースに問い合わせを行い、テレビ放送帯(470M~710MHz)のホワイトスペースで無線LANの技術を活用した移動通信システムの運用を行うもの。無線LANの従来の周波数(2.4GHz帯)も利用でき、ネットワークマネージャ部の制御により、トラフィック量などに応じて自動で通信周波数帯を切り替えることができる。

 開発端末は、市販端末に周波数変換装置などを取り付けたシンプルな構成を採用した。周波数変換装置とその制御装置が追加実装されており、テレビ帯ホワイトスペースにおいてはIEEE802.11b/gの周波数をUHF帯に変換することにより通信が可能となる()。運用する周波数は、NICTがこれまでに開発したホワイトスペースデータベースに端末が内蔵するGPSモジュールから取得した位置情報を送信し、計算の結果得る利用可能チャネルの情報を取得することで決定する。

 このほか、開発した端末は、「ホワイトスペースデータベースから1次利用者(テレビ放送)の情報を取得し、テレビ放送帯の各チャネルのホワイトスペースの状況および端末の現在地を同時に地図上に表示」「場所や時間によるホワイトスペースの状況により、端末からの出力レベルを制限する出力レベル調整」といった機能を持つ。

 こうしたホワイトスペースを利用した無線通信システムを実運用するためには、テレビ放送への干渉を確実に回避するためのホワイトスペース判定方法の策定が必要となる。そこで、NICTでは今後、開発端末を用いて伝搬特性評価などを行い、技術基準および制度設計に資する情報を提供していく予定。テレビ帯ホワイトスペース利用の通信規格の標準化活動に引き続き貢献するとともに、今回開発した端末の要素技術などを応用し、これらの通信規格に準拠した小型携帯端末の開発も同時並行で進めていく。

 なお、開発したタブレット端末は、総務省から受託した「ホワイトスペースにおける新たなブロードバンドアクセスの実現に向けた周波数高度利用技術の研究開発」の成果を利用して実現した。

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